若いサウンドエンジニアさんに覚えていて欲しいこと。  サウンドエンジニアの心得 その①  ミュージシャンの気持ちを汲む努力を惜しまない。     ミュージシャンは言葉で伝えるのがとても下手です。高音をもう少し強くなどと言うからとサウンドエンジニアは通常4KHz以上を考えると思います。しかし意外と高いほうのG(ソ)周波数でいうと783.99Hz位だったりします。    これはまだ判りやすい例ですが、音が重い気がする・軽やかな音にして欲しい・抜けが欲しい・低音にパンチが欲しい・音に影を感じるなどなど、これは僕が実際に内外の一流のアーティスト言われたことです。    実はこれに共通するのが高域の3.5Khz以上の処理の仕方なんです。音が重いは低域が遅れた感じがするのです。そこでエッジをきかせると抜けてきます。    軽やかにして欲しい、これはバランスとして低域が多く感じるので高域成分をシェルビングで上げてあげると軽くなってきます。低域と高域のバランスが崩れているわけですね。低域をカットオフしても良さそうなのですが周波数帯域が狭くなるので音の世界が小さくなるから僕はこの方法を取ります。    抜けが欲しい、まぁこれはサウンドエンジアなら判りますよね。アタック部分も大事ですが余韻の8KHz近辺の処理が大事ですね。シ音がシュッと空に抜ける感じに作れると良いですね。    低域にパンチが欲しい、ダメなサウンドエンジニアは低音をブースとします。まずこれは基本的に間違っています。もちろん低域は大事ですがドラムのキックなどのアタックは3.5KHz近辺です各ドラムやビータの質感、ヘッドの素材、ミュージシャンのキックの強さによってかなり幅があります。そこをブーストしながらスウィープで探り適正な場所を見つけます。そしてアタックがしっかりしたら低域の芯になる周波数を見つけてブーストします。それだけでパンチの効いた低域になります。そして350Hzあたりのふくらみを処理したらきっと良い音になるでしょう。    昔僕がオペレートしたドラムの周波数ポジションをそっくりノートに書き込んで使った若者がいました。次の現場で再現しても全く良い音にならないと嘆いていました。場所もドラムも人間も全て違うので違って当たり前なんです。エンジニアは数値だけに囚われる癖がありますが、迷ったら目を瞑ってチャンネルの周波数を動かしてみることです。良い音になるところを見つけるのは目じゃ有りません耳です。これを若い方には覚えて欲しいと思います。    音の影を感じるのも同じ要素です。感の良い人はディレー成分があるのかしら?と難しく考えがちなんですが余計な低域がまとわりつく感じなんですね。なので前項の高域の処理で片付きます。    ひとつ顕著な例を挙げておきます。野外コンサートで昔ターボのTMS-3を片側60本積んでコンサートをしました。その時にどうしても右側の低域がもたつくんです。そこで低音のスピーカを調べたのですが何も問題はありませんでした。    パルスを使って全部のスピーカの位相を再度チェックしました。すると60本のスピーカーの1本だけのツイーター(高域ユニット)が逆相だったんです。そのツイーターの位相を直したら低域が抜けてきました。それぐらいでも野外のような距離があるところでは実は大きく変わるんです。    エンジニアの感や何かおかしいと思ったら、絶対に調べることです。  これが本番に問題を起こさないプロとしての心得だと思います。  ミュージシャンの良い演奏を助けてあげて素晴らしいコンサートを届けましょう。  あなたはステージには上がりませんが第二のミュージシャンですから頑張ってくださいね。  サウンドエンジニアに終着駅は有りません、いつまでも理想の音を追い続けましょうね。
若いサウンドエンジニアさんに覚えていて欲しいこと。
サウンドエンジニアの心得 その①
ミュージシャンの気持ちを汲む努力を惜しまない。

 ミュージシャンは言葉で伝えるのがとても下手です。高音をもう少し強くなどと言うからとサウンドエンジニアは通常4KHz以上を考えると思います。しかし意外と高いほうのG(ソ)周波数でいうと783.99Hz位だったりします。

これはまだ判りやすい例ですが、音が重い気がする・軽やかな音にして欲しい・抜けが欲しい・低音にパンチが欲しい・音に影を感じるなどなど、これは僕が実際に内外の一流のアーティスト言われたことです。

実はこれに共通するのが高域の3.5Khz以上の処理の仕方なんです。音が重いは低域が遅れた感じがするのです。そこでエッジをきかせると抜けてきます。

軽やかにして欲しい、これはバランスとして低域が多く感じるので高域成分をシェルビングで上げてあげると軽くなってきます。低域と高域のバランスが崩れているわけですね。低域をカットオフしても良さそうなのですが周波数帯域が狭くなるので音の世界が小さくなるから僕はこの方法を取ります。

抜けが欲しい、まぁこれはサウンドエンジアなら判りますよね。アタック部分も大事ですが余韻の8KHz近辺の処理が大事ですね。シ音がシュッと空に抜ける感じに作れると良いですね。

低域にパンチが欲しい、ダメなサウンドエンジニアは低音をブースとします。まずこれは基本的に間違っています。もちろん低域は大事ですがドラムのキックなどのアタックは3.5KHz近辺です各ドラムやビータの質感、ヘッドの素材、ミュージシャンのキックの強さによってかなり幅があります。そこをブーストしながらスウィープで探り適正な場所を見つけます。そしてアタックがしっかりしたら低域の芯になる周波数を見つけてブーストします。それだけでパンチの効いた低域になります。そして350Hzあたりのふくらみを処理したらきっと良い音になるでしょう。

昔僕がオペレートしたドラムの周波数ポジションをそっくりノートに書き込んで使った若者がいました。次の現場で再現しても全く良い音にならないと嘆いていました。場所もドラムも人間も全て違うので違って当たり前なんです。エンジニアは数値だけに囚われる癖がありますが、迷ったら目を瞑ってチャンネルの周波数を動かしてみることです。良い音になるところを見つけるのは目じゃ有りません耳です。これを若い方には覚えて欲しいと思います。

音の影を感じるのも同じ要素です。感の良い人はディレー成分があるのかしら?と難しく考えがちなんですが余計な低域がまとわりつく感じなんですね。なので前項の高域の処理で片付きます。

ひとつ顕著な例を挙げておきます。野外コンサートで昔ターボのTMS-3を片側60本積んでコンサートをしました。その時にどうしても右側の低域がもたつくんです。そこで低音のスピーカを調べたのですが何も問題はありませんでした。

パルスを使って全部のスピーカの位相を再度チェックしました。すると60本のスピーカーの1本だけのツイーター(高域ユニット)が逆相だったんです。そのツイーターの位相を直したら低域が抜けてきました。それぐらいでも野外のような距離があるところでは実は大きく変わるんです。

エンジニアの感や何かおかしいと思ったら、絶対に調べることです。
これが本番に問題を起こさないプロとしての心得だと思います。
ミュージシャンの良い演奏を助けてあげて素晴らしいコンサートを届けましょう。
あなたはステージには上がりませんが第二のミュージシャンですから頑張ってくださいね。
サウンドエンジニアに終着駅は有りません、いつまでも理想の音を追い続けましょうね。
若いサウンドエンジニアさんに覚えていて欲しいこと。  サウンドエンジニアの心得 その②  愛情を持って接する    ステージモニター(演奏者用)とPAスピーカー(お客さん用)の音量や周波数は合わさって初めて良い音となる。    ミュージシャンや若いオペレーターは得てしてモニターだけで良い音を作ろうとする。ドラムを例に取ろう。キックの音を上げていきます。ドドン、ドドン 「ミュージシャンがキックのローもっとくださいアタック効かせて 音量も上げて」言われるままに上げてゆくと「ドラムの人が良い感じになった」と言うぐらい出すとお客さんの方に低音だけがダダ漏れに溢れてくる。    それでPAスピーカーでは狭いライブハウスなどでは特に逆に低音を切らなければ良い音がしなくなる。ステージモニターはミュージシャンにしか向いていないので高音は指向性が強くPAスピーカーに影響は与えないが、低音は低くなれば成るほど指向性は無くなる360度音が漏れてくる。  フライング(吊っている)スピーカーでは低音だけがハウリングを起こすのは上下左右350度音が出ているからである。    ではどうしたら良いのだろう?  逆に考えて欲しいモニターがPAに漏れるということはPAもモニターにも漏れるということなのだ。つまり順番が全く逆だと思ってください。PA側の音を先に作る、良い音になるまでミュージシャンには我慢してもらう、PAが決まったらモニターからは低い周波数をカットした音を返してあげる、すると如何にもスケール感のある低域の効いたキックが返ってくる。なにせ広い会場に響く低音なのだからミュージシャンも納得の音となるのだ。これを繋がり感のある音という。まるでステージから会場に向かって音が洪水のように繋がるのだから「すげぇ」の一言です。    コンサートを聴いて曇ったような音は全てミュージシャンの気持ち良い音量や音質でモニタースピーカーから出してしまった場合が多いのだ。これはミュージシャンにもお客さんにも愛情のあるサウンドエンジニアの仕事とは言えない!    日頃、一生懸命に働いた数千円のお金で好きなミュージシャンの音楽を聴きに行くのだ、それを考えたら?どちらの期待も絶対に裏切ってはいけないのだ。  僕はステージにいい歳をして戻った、それには大きな目的が在るのだサウンドエンジニアの地位や大切さをもっと一般の方々にも広くわかって欲しいからです。    コンサートのサウンドエンジニアが注目を浴びるのは失敗したときだけです。東京ドームとかで一番最初に音が出るスイッチを入れるのはとても勇気が要ります。自分の指全てに失敗か成功かが掛かっているんですから、影であり縁の下の力持ちである。素晴らしい職業です。でも日本の場合は機械についてくるオマケ扱いが非常に多いのです。だからエンジニアがこんな仕事をして支えているんですと各地でお話しています。    でも実際にステージを経験すればするほど、愛情を持って接しているサウンドエンジニアが少ないことも痛感しました。モニターにギターを返してくださいと言うといきなり死ぬほどデカイ音で返したり、普段ロックやりすぎ?ってぐらい。音楽はピアニッシモからフォルテッシモまであって音楽なんだからモニターのレベルが上がれば上がるほどピアニッシモが表現できないのだ。    絶対に勘違いしないで欲しいのは実はミュージシャンの9割は爆音PAを望んではいないのだ。迫力ある音とデッカイ音は次元が違うということなんです。  クリアでギターの弦が擦れる音やドラムのハイハットのゴーストノートまで再現できるとしたら最高のコンサートが出来ます。録音してあげたらミュージシャンに尊敬されますよ。「ちょっと自分の下手さも見えて、聴くのがちょっと恥ずかしいけどありがとう」って絶対言われます。もちろんそんな音ならお客さんは大満足「良い音のコンサート」とか言いません。紅潮した顔で「最高のコンサート」だった!ってお客さんが帰るときに口々に言うでしょう。それを見て心の中でガッツポーズです!    僕は仕事に愛情を持って接するというと舞台の体育会系の業界で良く笑われました。でも機会があったらマイケルの「This is It」を是非見て欲しい。イヤーモニターに音を返すときに彼が「耳に手を突っ込まれているみたいだ!愛なんだ愛!」と叫ぶシーンがある。  僕はこれを見て、今までのミュージシャンが絶対の信頼を持って接してくれたのが納得できました。現場を沢山経験して、技術の引き出しを沢山作り、一番大事にしたいのは愛情だということを忘れないで欲しいです。実は形こそ違え、どんなコンサートでも愛を表現しているからです。    音楽を沢山聴き、芸術を沢山見て、洋服のセンスまでも身につけ、どうぞ憧れられるようなサウンドエンジアになってくださいね。サウンドエンジニアは右脳も左脳もバランスの取れた素晴らしい職業です。自信と誇りをもって頑張ってください。僕はずっと応援しています。一緒にがんばりましょう。
若いサウンドエンジニアさんに覚えていて欲しいこと。
サウンドエンジニアの心得 その②
愛情を持って接する

ステージモニター(演奏者用)とPAスピーカー(お客さん用)の音量や周波数は合わさって初めて良い音となる。

ミュージシャンや若いオペレーターは得てしてモニターだけで良い音を作ろうとする。ドラムを例に取ろう。キックの音を上げていきます。ドドン、ドドン 「ミュージシャンがキックのローもっとくださいアタック効かせて 音量も上げて」言われるままに上げてゆくと「ドラムの人が良い感じになった」と言うぐらい出すとお客さんの方に低音だけがダダ漏れに溢れてくる。

それでPAスピーカーでは狭いライブハウスなどでは特に逆に低音を切らなければ良い音がしなくなる。ステージモニターはミュージシャンにしか向いていないので高音は指向性が強くPAスピーカーに影響は与えないが、低音は低くなれば成るほど指向性は無くなる360度音が漏れてくる。
フライング(吊っている)スピーカーでは低音だけがハウリングを起こすのは上下左右350度音が出ているからである。

ではどうしたら良いのだろう?
逆に考えて欲しいモニターがPAに漏れるということはPAもモニターにも漏れるということなのだ。つまり順番が全く逆だと思ってください。PA側の音を先に作る、良い音になるまでミュージシャンには我慢してもらう、PAが決まったらモニターからは低い周波数をカットした音を返してあげる、すると如何にもスケール感のある低域の効いたキックが返ってくる。なにせ広い会場に響く低音なのだからミュージシャンも納得の音となるのだ。これを繋がり感のある音という。まるでステージから会場に向かって音が洪水のように繋がるのだから「すげぇ」の一言です。

コンサートを聴いて曇ったような音は全てミュージシャンの気持ち良い音量や音質でモニタースピーカーから出してしまった場合が多いのだ。これはミュージシャンにもお客さんにも愛情のあるサウンドエンジニアの仕事とは言えない!

日頃、一生懸命に働いた数千円のお金で好きなミュージシャンの音楽を聴きに行くのだ、それを考えたら?どちらの期待も絶対に裏切ってはいけないのだ。
僕はステージにいい歳をして戻った、それには大きな目的が在るのだサウンドエンジニアの地位や大切さをもっと一般の方々にも広くわかって欲しいからです。

コンサートのサウンドエンジニアが注目を浴びるのは失敗したときだけです。東京ドームとかで一番最初に音が出るスイッチを入れるのはとても勇気が要ります。自分の指全てに失敗か成功かが掛かっているんですから、影であり縁の下の力持ちである。素晴らしい職業です。でも日本の場合は機械についてくるオマケ扱いが非常に多いのです。だからエンジニアがこんな仕事をして支えているんですと各地でお話しています。

でも実際にステージを経験すればするほど、愛情を持って接しているサウンドエンジニアが少ないことも痛感しました。モニターにギターを返してくださいと言うといきなり死ぬほどデカイ音で返したり、普段ロックやりすぎ?ってぐらい。音楽はピアニッシモからフォルテッシモまであって音楽なんだからモニターのレベルが上がれば上がるほどピアニッシモが表現できないのだ。

絶対に勘違いしないで欲しいのは実はミュージシャンの9割は爆音PAを望んではいないのだ。迫力ある音とデッカイ音は次元が違うということなんです。
クリアでギターの弦が擦れる音やドラムのハイハットのゴーストノートまで再現できるとしたら最高のコンサートが出来ます。録音してあげたらミュージシャンに尊敬されますよ。「ちょっと自分の下手さも見えて、聴くのがちょっと恥ずかしいけどありがとう」って絶対言われます。もちろんそんな音ならお客さんは大満足「良い音のコンサート」とか言いません。紅潮した顔で「最高のコンサート」だった!ってお客さんが帰るときに口々に言うでしょう。それを見て心の中でガッツポーズです!

僕は仕事に愛情を持って接するというと舞台の体育会系の業界で良く笑われました。でも機会があったらマイケルの「This is It」を是非見て欲しい。イヤーモニターに音を返すときに彼が「耳に手を突っ込まれているみたいだ!愛なんだ愛!」と叫ぶシーンがある。
僕はこれを見て、今までのミュージシャンが絶対の信頼を持って接してくれたのが納得できました。現場を沢山経験して、技術の引き出しを沢山作り、一番大事にしたいのは愛情だということを忘れないで欲しいです。実は形こそ違え、どんなコンサートでも愛を表現しているからです。

音楽を沢山聴き、芸術を沢山見て、洋服のセンスまでも身につけ、どうぞ憧れられるようなサウンドエンジアになってくださいね。サウンドエンジニアは右脳も左脳もバランスの取れた素晴らしい職業です。自信と誇りをもって頑張ってください。僕はずっと応援しています。一緒にがんばりましょう。
若いサウンドエンジニアさんに覚えていて欲しいこと。 サウンドエンジニアの心得 その③ 簡単に諦めるな  夢を捨てずに頑張ることそれが未来を創る  この話をする時に僕の一番恥ずかしい話をしなければなりません。それはプロのサウンドエンジニアになって2年程ツアーをやったある日のこと、業界でも、うるさ型で知られる大物歌手のモニターエンジニア(ステージ側でバンドや歌手に音を提供する仕事)をした時でした。毎日が恐ろしいほどの緊張感、胃が痛くなるほどの精神的な苦痛でした。  売れっ子だったので忙しくてイライラしているので回りも腫れ物に触るような現場でした。それでも機械の限界を超えるような努力、一瞬一瞬も気を抜かない仕事をこなしてきました。どうしたら一発で機嫌は良くなるような音に出来るのだろうなどなど・・・・  ある日のこと何時にも増して機嫌の悪い大物歌手、ついには僕をステージに引きずり出して「今日のコンサートの音が悪いのはコイツのせいです」と1000人以上もいるお客さまに謝らせられました。ハッキリって高いお金を払って楽しみに来ている、お客さまにとっては、どうでも良い迷惑な話です。  そして翌日の事でした1部が終わってステージ袖に駆け寄った彼は僕を殴りました。僕は逃げもせず受け止めました。裏切るような事をひとつもやっていないからです。そして僕はツアーを降りました。マネージャーから謝罪がありましたが文句も言いませんでした。  そして、機械の限界を超えるような技術や今どう云う風に感じているんだろう?思うのだろう?とか相手の気持ちを推し量れるようになってきました。 そして自分の技術の無さにも落ち込んだりもしましたが、現場には誰よりも早く行ってシュミレーションをしました。僕は生きかたも下手だし不器用だったからです。  そんなある日の事です。 僕が音楽を始めるきっかけをくれた偉大なミュージシャン「レイチャールズ」のジャパンツアーのチーフエンジニアをすることとなりました。 毎年12月にツアーに来られて僕が担当しました、2年目の中野サンプラザでした。MCをするマネージャーがレイチャールズが楽屋に呼んでる。というので恐る恐る一緒に行きました。ドアを開けると明るい声でカモーンと呼んでくれて「どんな会場でも同じような響きにしてくれてありがとう」とハグしてくれたんです。「歌いやすくて最高に良い音だ」と黒人独特の表現で褒めてくれました。  幼いころに彼のレコードを聴き感動したあの日と重なる。世界の一流ミュージシャンに認めてもらえた、それも耳だけが頼りの彼に認めて貰えたことは何事にも代えられない喜びでした。日本人には認められず、世界で本物と言われる人に認められて、生きてきて良かったと実感したものです。  今では限界を超える努力を強いられたり、罵倒されたり、文句を言われたりした事すら感謝しています。実はミュージシャン特にソリストは孤独なんです。いつも支えてくれる、時には我侭さえ聴いてくれるような存在がサウンドエンジニアなんです。だから我侭言ったときには聞いてあげて、時には厳しい意見も言えるようになると本当の信頼関係が生まれます。  今君たちに起こっていることは、将来にとって必要だから起こっていることなんです。絶対に諦めないで投げないで将来への投資だと思って頑張ってください。 つまらぬ愚痴は飲み屋の隅に捨ててしまえばいいよ。万が一音響の仕事を離れることになっても諦めない気持ちは絶対に君の役に立ちます。  毎日気分を切り替えて、明るく仕事を楽しんで、そしてミュージシャンの気持ちを汲み取れるように努力をして、ダメだったらダメでまた努力をすれば良い。 いつか花開くときが来るからね。夢を紙に書きいつも見える所に飾っておきなさい。頑張れば絶対実現するからね。 僕もずっと頑張るから君たちも頑張るんだよ。
若いサウンドエンジニアさんに覚えていて欲しいこと。
サウンドエンジニアの心得 その③
簡単に諦めるな

夢を捨てずに頑張ることそれが未来を創る

この話をする時に僕の一番恥ずかしい話をしなければなりません。それはプロのサウンドエンジニアになって2年程ツアーをやったある日のこと、業界でも、うるさ型で知られる大物歌手のモニターエンジニア(ステージ側でバンドや歌手に音を提供する仕事)をした時でした。毎日が恐ろしいほどの緊張感、胃が痛くなるほどの精神的な苦痛でした。

売れっ子だったので忙しくてイライラしているので回りも腫れ物に触るような現場でした。それでも機械の限界を超えるような努力、一瞬一瞬も気を抜かない仕事をこなしてきました。どうしたら一発で機嫌は良くなるような音に出来るのだろうなどなど・・・・

ある日のこと何時にも増して機嫌の悪い大物歌手、ついには僕をステージに引きずり出して「今日のコンサートの音が悪いのはコイツのせいです」と1000人以上もいるお客さまに謝らせられました。ハッキリって高いお金を払って楽しみに来ている、お客さまにとっては、どうでも良い迷惑な話です。

そして翌日の事でした1部が終わってステージ袖に駆け寄った彼は僕を殴りました。僕は逃げもせず受け止めました。裏切るような事をひとつもやっていないからです。そして僕はツアーを降りました。マネージャーから謝罪がありましたが文句も言いませんでした。

そして、機械の限界を超えるような技術や今どう云う風に感じているんだろう?思うのだろう?とか相手の気持ちを推し量れるようになってきました。
そして自分の技術の無さにも落ち込んだりもしましたが、現場には誰よりも早く行ってシュミレーションをしました。僕は生きかたも下手だし不器用だったからです。

そんなある日の事です。
僕が音楽を始めるきっかけをくれた偉大なミュージシャン「レイチャールズ」のジャパンツアーのチーフエンジニアをすることとなりました。
毎年12月にツアーに来られて僕が担当しました、2年目の中野サンプラザでした。MCをするマネージャーがレイチャールズが楽屋に呼んでる。というので恐る恐る一緒に行きました。ドアを開けると明るい声でカモーンと呼んでくれて「どんな会場でも同じような響きにしてくれてありがとう」とハグしてくれたんです。「歌いやすくて最高に良い音だ」と黒人独特の表現で褒めてくれました。

幼いころに彼のレコードを聴き感動したあの日と重なる。世界の一流ミュージシャンに認めてもらえた、それも耳だけが頼りの彼に認めて貰えたことは何事にも代えられない喜びでした。日本人には認められず、世界で本物と言われる人に認められて、生きてきて良かったと実感したものです。

今では限界を超える努力を強いられたり、罵倒されたり、文句を言われたりした事すら感謝しています。実はミュージシャン特にソリストは孤独なんです。いつも支えてくれる、時には我侭さえ聴いてくれるような存在がサウンドエンジニアなんです。だから我侭言ったときには聞いてあげて、時には厳しい意見も言えるようになると本当の信頼関係が生まれます。

今君たちに起こっていることは、将来にとって必要だから起こっていることなんです。絶対に諦めないで投げないで将来への投資だと思って頑張ってください。
つまらぬ愚痴は飲み屋の隅に捨ててしまえばいいよ。万が一音響の仕事を離れることになっても諦めない気持ちは絶対に君の役に立ちます。

毎日気分を切り替えて、明るく仕事を楽しんで、そしてミュージシャンの気持ちを汲み取れるように努力をして、ダメだったらダメでまた努力をすれば良い。
いつか花開くときが来るからね。夢を紙に書きいつも見える所に飾っておきなさい。頑張れば絶対実現するからね。
僕もずっと頑張るから君たちも頑張るんだよ。
 

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