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【NAMMレポート4】サンプリングでも、AIでもなく、物理モデリングでリアリティを追求する、イタリアのAudio Modeling

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イタリアのソフトウェア音源メーカー、Audio Modelingをご存じでしょうか?同社は、まさにその名の通り、オーディオを物理モデリングという手段で生成することによって、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロ…といった弦楽器、またトランペットやトロンボーンなどの管楽器、さらにはサックスやフルート、クラリネットといった木管管楽器の音をリアルに作り出すことを実現しているのです。

現在は、弦楽器や管楽器といえば大容量サンプリングが当たり前の時代だし、昨今はAIによる楽器音合成も登場してきている中、物理モデリングという手法を使っているのがAudio Modeling。これまでも物理モデリングという手法はありましたが、リアルな音という面においては今一つであったのが実際のところ。そうした中、最新の技術、SWAMテクノロジーを用いてホンモノの楽器の音に極めて近いレベルを実現するとともに、同社独自の空間シミュレーション技術、Ambiente(アンビエンテ)を組み合わせることで、楽器の音を部屋の中の好きな位置に配置して演奏することを可能にするという手法で、注目を集めています。そのAudio Modelingの技術背景などについて、The NAMM Show 2025に出ていた同社CEOのStefano Lucato(ステファノ・ルカート)さんにお話しを伺うことができたので、紹介してみましょう。

NAMM Show会場の隣のホテルでAudio Modelingについて話を伺った

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リアルを追求するAudio Modelingのサウンド

Audio Modelingの各種ソフトウェア音源は、すでに国内でも販売されています。チェロ、トランペット、サックス、ヴァイオリン……のように個別のソロ楽器としても販売されているし、弦楽器をまとめた製品、ブラス系をまとめた製品、さらには全部入りなど、さまざまなバリエーションがあります。

でも物理モデリングと聞いて、「何それ?」という方もいれば、「あんまりリアルな音じゃないんだろ」と思う方もいるかもしれません。そこで、まずは以下のYouTubeのビデオでトランペット音源であるSWAM Trumpets、ヴァイオリン音源であるSWAM Violin、サックス音源であるSWAM Saxophonesのそれぞれのデモをご覧になってみてください。

ちょっと、スゴくないですか!? 誤解なきよう説明しておくと、トランペットとヴァイオリンで弾いている黒いキーボード、StudiologicのSledgeブラックエディションは、あくまでも鍵盤であって、鳴っているのはソフトウェア音源であるSWAM TrumpetsやSWAM Violinです。

物理モデリングでリアルなサウンドを奏でるSWAMシリーズのサックス音源、SWAM Saxophones

3つ目のサックスは、DAWでエレピやドラムが入ったオケを流しながら、Nord Stageを弾いていますが、こちらもNord Stageが鳴っているわけではなく、ソフトウェア音源であるSWAM Saxophonesが鳴っているのです。またビデオを見ても分かる通り、鍵盤を弾きながらブレスコントローラも使っているのが分かると思います。

いずれもSWAMシリーズのラインナップに当たる物理モデリングによるソフトウェア音源で、SWAMシリーズにはほかにもさまざまなものがあります。またAudio Modelingでは、このSWAMシリーズと組み合わせて使う、Ambienteという非常に優れたルームシミュレータも出しています。この辺について、シモンさんに伺ってみました。

2011年にスタートし、現在約30名の体制になった伊Audio Modeling

--まず、Audio Modelingという会社の歴史について簡単に教えていただけますか?
Stefano:スタートは2011年にソプラノサックスの物理モデリング音源を作ったところからです。もともと私が物理モデリングとサンプリングをインテグレーションするアイディアがあったので、ここにいるLeleを呼んで一緒に作ったのです。ただ、その時点では我々はフリーの立場で、会社組織になっていなかったので、Sample Modelingという会社を通じて販売していました。日本でもメディア・インテグレーションが販売してくれていたので、そこから数えればもう14年もの付き合いになるわけですね。

Audio Modeling CEOのStefano Lucatoさん(中)とCTOのLele Parraviciniさん(右)、CXOのSione Capitaniさん(左)

--その後に、今のAudio Modelingを設立したわけですか?
Stefano:いえ、しばらくはフリーで開発を続けていました。具体的には2017年まで、そうした立場でいて、途中でSimoneも加わったチームで行っていました。その間、14種類ものインストゥルメントを開発してきましたが、2017年にこのAudio Modelingを設立し、製品もここから出すようになりました。現在は13人のメンバーがいて、外部の協力スタッフも15人いるので、当初と比べるとずいぶん大きな組織になりましたね。

--現時点で、どのくらいの数の製品があるのですか?
Stefano:プラグイン・インストゥルメントだけで37種類あり、ほかにもSimoneが開発したCamelotProというライブパフォーマンスマネージメントシステムがあったり、AmbienteというルームシムレーターがあるほかiOSアプリも出しているので、結構な数になります。

リアルなサウンドを追求する物理モデリング音源、SWAMシリーズ

--そうした多くの製品がある中、やはりコアとなるのが物理モデリングの音源なわけですよね。
Stefano:はい。当社ではSWAMシリーズを展開しており、そのコアにあるのがSWAMエンジンという独自の物理モデリングのエンジンを使っています。そのSWAMシリーズの中にはソロのストリングスおよびソロのブラスがありますが、これらはすべて完全な物理モデリング音源になってます。一方、SWAM STRINGS SECTIONというヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントロラバスに対応した製品もありますが、こちらでは一部サンプリングも利用しています。とはいえ、こちらもほとんどが物理モデリングで実現させています。

インタビューしたAudio ModelingのCEO、Stefano Lucatoさん

--実際、音を聴いてみると、物理モデリングとは信じられないほどリアルなサウンドで、驚きます。
Stefano:サンプリングだと、表現の幅が狭くなってしまうのに対し、SWAMエンジンの物理モデリングだと、非常に自由で表現できることが多くなります。その一方で、サンプリングを使っていないから、プログラムサイズも非常に小さいのです。だから、サンプリングしから知らない人からは、「これ、本当にプログラムが入っているのか?」と驚かれますね。SWAMシリーズの各音源のファイルサイズは50メガバイト程度。サンプリング音源と比較したら、数十分の1とか数百分の1のサイズだからね。

各音源それぞれに、さまざまなパラメータが用意されている

--これまでも、物理モデリング音源って、たくさんあったと思いますが、それらと比べて何が違うのですか?
Stefano:たくさんあった、だって?オモチャのような物理モデリング音源はともかく、リアルな物理モデリング音源は、Expressive Eがストリングス系を少し出しているくらいで、ほかにはほとんどないはずですよ。また他社では、たとえば3mのバイオリンのように、世の中には実在しないものを物理モデリングで実現させるといったアプローチを取るケースがありますが、我々のSWAMシリーズは、実際に音を聴いてもらえば分かるとおり、リアルな楽器に限りなく違い音を実現させています。そのため、コントロールするパラメーターがいろいろあるのもSWAMシリーズの特徴でもあります。たとえば、ベロシティはサウンドのアタックとポルタメント時間、およびレガート演奏を制御します。Mod. ホイールはビブラートを制御し、任意のフットペダルをエクスプレッションに割り当てることができます。そのためMPE対応のコントローラーなどがあると、扱いやすいですね。たとえばAKAIのEWIやRolandのAerophone、YAMAHAのYDS-120、ROLIのSEABOARD……など主なMIDIハードウェアについてはすぐに使えるようにプリセットを用意していますが、もちろん自分で自由に割り当てて使うことも可能ですよ。

SWAMシリーズの各パラメータをすぐコントロールできるよう、数多く機器がプリセットとして用意されている

すべて計算で処理するルームシミュレータ、Ambiente(アンビエンテ)

--先ほどお話されていたルームシミュレータのAmbienteについても少し紹介してください。
Stefano:ルームシミュレータというと、最近はそのほとんどが、IR、つまりサンプリングベースのコンボリューションリバーブとなっています。ただコンボリューションリバーブの場合、ある1点での音を再現するものであり、部屋のいろいろな場所に楽器を配置するとなると、その数だけサンプルリングデータが必要となります。どこでも自由に配置するなどとなったら、膨大な量のサンプリング量になってしまい、現実的ではなくなります。そこで我々はすべて計算によって音の響きを再現する物理モデリングによるルームシミュレータ、Ambienteを開発したのです。

すべて計算によって音を作り出すルームシミュレータ、Ambiente

--Ambienteは、CPUパワーを大きく消費するのでしょうか?
Stefano:そうですね。確かにCPU消費量という意味では、コンボリューションリバーブと比較するとやや高めです。ただ、コンボリューションリバーブは多くのメモリを必要とするのに対し、Ambienteではメモリをあまり必要としません。また、IRデータがないのでプログラムサイズも圧倒的に小さくなっています。

Ambienteを使うことで、各楽器を部屋の好きな場所に配置できる

--ちなみにGPUを使うと、動作効率が上がる…といったことがありますか?つまりGPU Audioが使っているようなアプローチは可能でしょうか?
Stefano:GPU Audioは非常に面白いことをやっていると思います。ただ、GPUが得意とするのは繰り返し同じ計算をすることです。それに対し、Audio Modeling 製品のアルゴリズムは一般的なコンボリューションや他の繰り返し計算とは異なる点が多く、難易度の高い開発です。今、その開発をGPU Auido社と進めています。

--Ambienteの使い方に何か特徴的なことはありますか?
Stefano:Ambienteの使い方はとっても簡単です。まずは、オーディオトラックにインストゥルメントトラックに、インサーションする形でAmbienteをセットしておきます。複数トラックに挿しても、動作するのは1つのAmbienteである、というのも大きなポイントです。またSWAMシリーズは自動的に、有機的にAmbienteとつながる形になっているので、ユーザーはいちいちAmbienteをインサートする必要はありません。その上で、音を鳴らす空間をホールなのか、スタジオなのか、シアターなのかなど、多くのプリセットが用意されているので、その中から選択します。もちろん、部屋の大きさなどを調整することも可能です。空間が決まったら、各音源をどこに配置するかを指定するだけ。これによって、あたかもその空間で鳴らしているかのようになるのです。右に配置するか左に配置するかで、音が右に行ったり、左に行ったりしますが、これはPANとはまったくの別物です。単に左右に振るだけではく、そのまわりの壁や天井からの反射音も再現され、非常に立体的に音が鳴るのです。

AmbienteはSWAMシリーズと有機的に連携して使えるようになっている

低予算でリアルなオーケストラを実現できる

--SWAMシリーズやAmbienteなど、どのようなユーザーが多く利用しているのでしょうか?
Stefano:個人のアマチュアユーザーもプロユーザーもいますが、最近は教育機関で使われるケースも増えていますね。非常にリアルな音が再現できるのとともに、管楽器や弦楽器の構造を学ぶことができる、ということから学校などで導入するケースが増えてきているんです。一方で、予算が少なめな音楽制作で使われるケースも増えてきています。リアルなサウンドを出せるSWAMシリーズだからこそ、最小限のミュージシャンでも、壮大なオーケストレーションを組むことが可能になるのです。以下は先日、少ないミュージシャンで構成した音楽制作の過程をビデオにしたものです。

--ここまでできるのであれば、いっそのことすべてSWAMシリーズだけで制作してしまってもいいのではないですか?
Stefano:もちろん、そうしたことも可能です。ただ、SWAMシリーズはあくまでも楽器であり、どのように演奏するかは作曲家であったり、打ち込みをしていく人が決めていくわけです。一方で演奏家は、人それぞれ、その人特有の演奏をするわけで、その技量だったり、奏でるサウンドが異なってきます。同じ楽器でも、演奏する人が違えば、その結果の音は変わってくるわけです。そのため、やはり人が入ることで、味が出てくる、という面があるのです。そのため、うまくバランスを取りながら制作していくことで、いい作品ができるのではないかと思います。ぜひ多くの日本の方にもAudio Modelingのソフトウェアを活用していただければ、と思っています。

--ありがとうございました。

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