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MIDIが38年ぶりのバージョンアップでMIDI 2.0に。従来のMIDI 1.0との互換性を保ちつつ機能強化

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2019年1月18日、一般社団法人音楽電子事業協会(AMEI)とThe MIDI Manufacturers Association (MMA)(米国MIDI管理団体)は、従来のMIDI規格に、新たに拡張性を持たせたプロトコルなどを含んだ次世代のMIDIとして「MIDI 2.0」の開発・規格化および実装作業を進めていくことを発表しました。

MIDI 1.0」が発表されたのが1981年なので、なんと38年の時間を経て初のバージョンアップ。世界中の楽器メーカー、DAWメーカー、プラグインメーカーなどが合意する形での新規格となり、DTMの世界としても近年にない大きなトピックスとなりそうです。まだ発表されたばかりで、詳細情報がない中ではありますが、このMIDI 2.0とはどんなもので、ユーザーにとって、どんなメリットをもたらしてくれるものなのか、考えてみたいと思います。


ついに新規格、MIDI 2.0が誕生することになった

今年のNAMM SHOW 2019を目前に控えるタイミングで、今回、AMEIおよびMMAから同時に発表された「MIDI 2.0」。それぞれ、以下のような文面での発表となっています。


AMEIによるプレスリリース


MMAによるプレスリリース

「AMEIって何だ?」という方もいると思いますが、ここはヤマハ、ローランド、コルグ、ズーム、カワイ、カシオ、インターネット、クリムゾンテクノロジー……などといった電子楽器メーカー、ソフトウェアメーカーなどが集まる団体で、MIDIの規格について協議したり、MIDI検定を実施している団体です。


AMEIはMIDI検定を実施している団体でもある

一方MMAのほうは、アメリカのMIDI管理団体ですが、アメリカ国内だけの団体というよりも、アメリカに本部を置きつつヨーロッパも含めた世界中のメーカーが加入する団体。実は昨年11月、MMAから「MIDIの大幅アップデートに向けて新メンバが加入」というニュースが発表されており、そこには新メンバーとしてAbleton、Native Instrumentsなどの名前もあがっていました。ちなみにMMAのメンバーにはGoogleやApple、Microsoftなども入っていますね。


昨年11月にMMAが出したニュースには上記のような企業が新規加入したことが書かれていた

AMEIとMMAは横並びに存在する団体であり、そのAMEIとMMAが歩調を合わせ、20世紀の規格である「MIDI 1.0」を21世紀にアップデートして、新規格「MIDI 2.0」とするわけですから、まさに世紀の大事件(!?)といえそうですよね。


今回AMEIとMMAが共同でMIDI 2.0についての発表を行った

「そもそもMIDIって何だ?」という方は以前の記事「今さら聞けない、『MIDIって何?』『MIDIって古いの?』」あたりを読んでいただくとして、改めて考えてちょっと驚くのは、現時点においてはMIDI 1.0というバージョンであること。1981年に発表されたとはいえ、これまでもMIDIはずっと進化をし続けてきました。古くはGM=General MIDIという音源規格がRP(Recommended Practice:推奨応用事例)として盛り込まれたり、SMF=Standard MIDI FileというファイルフォーマットがRPで規定されてきたほか、最近でいえばBluetoothを利用してMIDIを飛ばすMIDI over BLEが規定されたりしてきました。

その都度、AMEI(GM1やSMFの時代前身のMIDI規格協議会という団体だった)とMMAで協議してきたという歴史があるわけですが、あくまでも骨格はMIDI 1.0のままで、RPもしくはCA(Confirmation of Approval for MIDI Standard:MIDI規格の追記事項)として追加されてきた格好です。

ちなみに「MIDI規格1.0規格書」は現在もリットーミュージックから発売されてはいますが、同じ内容のものがAMEIサイトからPDFファイルで誰でも入手可能になっています。


MIDI 1.0の規格書は現在も販売されているが、AMEIサイトから無料でダウンロードもできる

さて、前置きがずいぶんと長くなってしまいましたが、今回のMIDI 2.0の規格内容や、MIDI規格2.0規格書はどこにあるのか、というと、まだ何もないのが実情です。そう、これからAMEIやMMAのメンバーが協議をしながら中身を決めていくことを発表したのに過ぎないのです。MIDI 2.0のロゴについても、今後決めていくという状況です。極端な言い方をしてしまえば、「MIDI 2.0」という名前を発表しただけ、といっても間違いではないでしょう。

でも、実はこのことが、すごく大きな意味を持っているのです。MIDI 1.0が誕生してから38年という長い間、当然のことながら新規格作ろう、という声は何度も上がり、何度も検討を繰り返してきたのは事実です。たとえばベロシティは0~127の128段階しかないし、ビブラートの深さを決めるビブラートデプスだって、エンベロープを設定するアタックタイムもリリースタイムも0~127と128段階と大雑把。

またMIDI 1.0として規定されている通信速度なんて31.25kbpsですから、USB 2.0の速度480Mbpsと比較したら1万5000分の1の速度。日進月歩のデジタル技術の世界で、MIDIはよく今でもこんなものが生き残ってるものだと思うほど原始的な規格ですからね。

だから、やろうと思えば、いくらでも新規格を作ることは可能だったわけですが、「もし新規格ができて、過去のMIDI機器は互換性のない古いもの、となったらどうなのか……」という議論がいつも起こっていたようです。MIDIが誕生して間もない1983年に発売されたDX7、1984年に発売されたJUNO-106、1988年のM1が、ビンテージ機材として尊重され、今も最新の楽器やDAWとともに普通に使われるのが音楽制作の世界。それをうまく残しつつ、新しい時代にマッチした規格を作ろうという意思の元、「MIDI 2.0」が生まれているのです。

「MIDI 2.0とは、最初にMIDI機器間でネゴシエーションを行い、既存のMIDI 1.0対応機器との運用性を維持した上で、現在のMIDI 1.0からチャンネル・メッセージの分解能拡張、ノート・コントロール、タイムスタンプなど、演奏の表現力やデータ再現性を大きく向上させる規格です」

とありますが、MIDI 1.0との互換性を持たせるために利用されることになったのが昨年、発表されたMIDI-CIです。これについての詳細は「MIDIはまだまだ進化中。YAMAHA、Roland、KORGなどライバル企業が共同でFuture MIDI Expansionを策定。楽器フェアでその実例がお披露目に」の記事をご覧いただければと思います。

MIDI 1.0と2.0の互換性を保ちつつ、その橋渡しをする仕組みがMIDI-CI (※2019.1.19 18:00 最新チャート図に差し替えました

この記事の中で、

MIDI-CI(Capability Inquiry)とは、機器同士で予めネゴシエーションを行い、機器同士が対応可能な範囲で転送レート変更(Protocol)や、新たなメッセージ体系での送受信(Profile)、あるいは接続機器同士の音色ライブラリ情報交換(Property)などができる仕組みです。MIDI 1.0をそのまま利用しながら、より使いやすい環境を構築していこうというのが、Future MIDI Expansion CIの考えているところなのです

とありました。このMIDI-CIを利用するということは、つまり、まず接続してみてお互いがMIDI 1.0のシステムなのか、MIDI 2.0対応なのかを判断する。その上でMIDI 2.0同士であれば、通信速度や分解能など、新規格でやりとりし、そうでなければ従来のMIDI 1.0でのやりとりにすることで互換性を保つ、という手法となっているわけです。

MIDI 2.0の規格の詳細は、今後、詰めていくことになるようですが、現在あがっているテーマとしては

チャンネル・メッセージの分解能拡張
ノート・コントロール
タイムスタンプ

など、演奏の表現力やデータ再現性を大きく向上させる規格、とあります。

これについても軽く考察してみると、チャンネル・メッセージの分解能拡張とは、前述のベロシティはもちろん、コントロールチェンジとして用意されているエクスプレッション、PAN、ブレスコントロール、ビブラートデプス、ビブラートレート、アタックタイム、リリースタイム……などの分解能を上げて、より細かくコントロールしていくということだと思います。

一方のノート・コントロールというのは、これまでMIDIのチャンネルごとにコントロールチェンジ信号などを送って調整できるようになっていたものをノートごと、つまり1音、1音変えていくことができる、というもののようです。これができるようになると、DAWの使い方もかなり変わってくる可能性がありますが、表現の幅は大きく広がりそうですよね。

もうひとつタイムスタンプとあるのは、現在ある意味垂れ流しになっているMIDI情報をよりしっかり時間管理していく……ということなのではないでしょうか。Wi-FiやLANなどを使ってMIDI信号を送った場合、場合によってはデータが届く順番が入れ替わる可能性がありますが、タイムスタンプを使って管理していれば、そうした問題も避けられる、ということなのではないか、と。

きっと、まだまだアイディアはいろいろあるだろうし、AMEI、MMAに参加している各社の思惑などもあるかもしれません。今後の協議によって、詳細はいろいろと変わってくるとは思いますが、まずは大きな一歩を踏み出した、ということなのでしょう。

ぜひ、また近いうちに改めてAMEIのMIDI規格委員会のメンバーへのインタビューなども行ってみたいと思っていますが、新しい情報が入ったら、記事にしていくので、ご期待ください。

【関連情報】
MIDI 2.0 プレスリリース(AMEI)
MIDI 2.0とMIDI-CIの関係(MMA:英語)
MIDI 2.0 プレスリリース(MMA:英文)
AMEIサイト
MMAサイト
MIDI規格1.0規格書

この記事を書いた人

DTM、デジタルレコーディング、デジタルオーディオを中心に執筆するライター。インプレスのAV WatchでもDigital Audio Laboratoryを2001年より連載。「Cubase徹底操作ガイド」(リットーミュージック)、「ボーカロイド技術論」(ヤマハミュージックメディア)などの著書も多数ある。趣味は太陽光発電、2004年より自宅の電気を太陽光発電で賄うほか、現在3つの発電所を運用する発電所長でもある。

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コメント

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  2. […] この記事詳しいな https://www.dtmstation.com/archives/23425.html […]

  3. […] 2019/01/20(日) 01:59:37.56 ID:i+7e8AHd0 この記事詳しいな http://www.dtmstation.com/archives/23425.html       117: 以下、ニュー速・無印がお送りします 2019/01/20(日) […]

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