
オンラインホワイトボードの「Miro(ミロ)」は12月20日、生成AI関連を含む新機能を発表した。
今回公開された新機能は大きく分けると「Miro アシスト」と、2023年9月に公開した非同期コミュニケーション機能「TalkTrack(トークトラック)」の強化になる。
特にMiro アシストは、2022年12月に公開した生成AI機能「Miro AI」の派生となるが、ボード内の情報の整理や情報の生成だけではなく、分析・探索作業も可能になる。
チーム内のコラボレーション作業で便利なオンラインホワイトボードに、AI機能が加わるとどんなことが変わるのか、その詳細を解説しよう。
AIにボードの分析やスライド作成を指示できる

Miro アシストは、既存のMiro AIを含めたAI機能の総称になる。そのため、従来のMiro AIでも使えた「感情やキーワードなどごとに付箋を仕分けする機能」などはそのまま使える。
既存の機能では、主に付せんなどのオブジェクトの整理や、アイデアの壁打ちにAIを活用できていた。Miro アシストに改名してからは、ボード上の情報から、何らかのインサイトを得る、つまり「分析」作業も依頼できるようになる。
最もわかりやすい見た目の変化は、Miroの作業画面右下に固定された青いボタンだろう。このボタンを押すと右側からMiro アシストとのチャット画面が表示される。

このチャット画面ではAIであるMiro アシストにさまざまな作業を指示できる。
例えば、オフィスの改善点の意見を付せんとして集めている場合、付せんを全て選択して「要望の多いトップ5を教えて」と入力すれば、AIが5つの改善点を箇条書きで教えてくれる。また、その情報を元に新しい付せんを作成し、会議や検討時を次のステップに進められる。
さらに、AIはボードの内容以外の提案もできる。
前述の例では提示された5つの改善点に対して「これらの課題を解決する方法は?」と入力すれば、AIが具体的な改善方法を提案していた。

また、ホワイトボードと言えばアイデア出しや情報整理の段階で必要なもの、という印象が強いが、Miroは発表や情報共有に使えるスライド作成もできる。
ただ、わざわざホワイトボードの内容をスライドにする作業は億劫だ。

Miro アシストはスライドの叩き台を作る機能もサポート。対象のオブジェクトを選択してチャット画面で「説明資料を作成して」と入力すれば、画像と文字の入ったスライドが生成される仕組みだ。
今は無料のAI機能。有償になる可能性も

このほかにもAI機能としては、従来より高度なダイアグラムの生成や、AWS(Amazon Web Services)の構成図の作成も可能になる。また、その構成図をもとにしたコスト試算などの機能も今後提供を予定しているという。
Miroは現在、世界で6000万人以上のユーザーが利用しているが、ビジネスモデルはフリーミアム(無料で利用が開始でき、有償機能に誘導する)となっており、いかに企業や個人の有償ユーザーを増やすかが成長の鍵となる。
一方で、動画の収録で非同期コミュニケーションができる「TalkTrack」や前述のAWSの構成図に関する生成機能は有償向け機能(プランによる)になるが、Miroアシストは現在「ベータ版」という位置付けのため、無料を含む全プランで利用できる。

ただし、20日の記者向け説明会に登壇したMiro JapanのHead of Solution Engineeringを務める石動裕康氏は「(価格については)今後、変わる可能性はある」とし、ベータ版での利用状況やフィードバックを受けて機能や価格が変動する可能性を口にしていた。
また、Miroを含めたオンラインツールサービスでは、今さまざまな生成AI機能がリリースされている。
例えば、オンラインホワイトボードとしては競合のFigma(フィグマ)の「FigJam」(フィグジャム)でも、11月から「FigJam AI」として、生成AIによるテンプレートの作成や付せんの分類、内容の要約機能をサポートしている。
MiroもFigmaのいずれもOpenAIの生成AIエンジン(LLM)を使って生成AI機能を提供している(厳密に言えばMiroはマイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用している)。そのため、「AIの生成品質」という面では差は出にくい。

そんな中でMiroはどのような強みを持っているのか。石動氏は「MiroのAI周りは拡張しやすくなっている」とサービスの裏側の柔軟性について言及。同じく20日の説明会に登壇したMiro Japanの五十嵐光喜社長は「一貫したワークスペースとして提供している」ことが強みだと語った。
五十嵐氏は詳細な日本でのビジネスの状況について言及を避けたが、「(これまで)部門ごとに導入していた企業が、全社員導入になるケースが増えている」と語り、そうした企業の具体名や事例を年明け以降に「発表する準備を進めている」と語った。











