中国オタク界隈で日本のラノベやネット小説が「時代遅れ」だと言われる理由 その2
その1から続きます。
・中国のネット小説業界で繰り広げられてきた作家の課金収入と直結する激しい競争
その1で述べたように中国のネット小説は長年お金を稼ぐ場所、ある種のチャイナドリームでのし上がる場所的なものになっていたことから、作品の競争も非常に激しいものとなっています。
そしてその中国のネット小説作品の競争で重要な武器となっているのが
「新しいネタ、テンプレ要素」と「文章量」
だそうです。
収入に直結した競争ということもありどの作家も「勝てる」手法の模索模倣に積極的だそうで、オリジナル性といった方面ではやや疑問は残るものの、どの作品も貪欲に流行りの展開やテンプレ要素を放り込んでいくそうですし、流行も非常に速いペースで入れ替わっていくそうです。
更に中国のネット小説では文章量によるアピールが非常に有効だそうで、これは課金形態の一つに作品を指定して読み放題にするというものがあり、その際に「たくさん読める」というお得感をアピールできるからなのだとか。
一説によれば、中国のネット小説作品で「稼いでいる」作品の更新ペースは中国語で一日に2万字(日本語で換算した場合は約4万~6万字、固有名詞次第では更に増えることも)程度はあるそうです。
さすがにここまでのペースの競争になると個人で対応するのは難しく、中国のネット小説は複数人によって執筆されることも普通になってきているそうです。
チームを組んでそれぞれの得意パートを担当する分業での執筆活動や、読者に対する広報活動を行うなど、作品がそのまま収入につながる中国のネット小説環境だからこそ成立する、人気作品として勝ち残る、収入を得て食っていくスタイルになってきているとのことです。
ちなみにこの中国のネット小説作家のスタイルに関しては、
「現在の日本の感覚で例えるならばネット小説作家よりもYoutuberの方が近いかもしれない。勝負のやり方も、収入との直接的な関係も、勝っている所が看板の一人ではなく実は分業体制だとかも含めて」
という見方を教えてもらったこともあります。
そして中国のオタクな方によると、現在の日本のラノベやネット小説と比較した際に更新ペースの勢いが中国よりも遅く見えるそうです。そしてネタに関しても
「どの作品もずっと同じネタ、異世界転移や転生ネタばかり」
ということが「遅れている」とされがちな要素でもあるそうです。
中国のネット小説でも異世界転移、転生系作品は「穿越」という人気のジャンルではあるものの、あくまで人気ジャンルの一つでしかなく、他にも武侠や仙侠から発展した中華ファンタジーとも言われる「玄幻」や遺跡を探索する「盗墓」、ミリタリー的に俺TUEEEEEをする「軍人」などの超人気ジャンルが存在するそうです。
そしてそのような認識があることから、中国オタク界隈ではいつも異世界転移ネタばかり(に見える)日本の作品に関する評価はどんどん下降していったのだとか。
もっとも、収入に直接関わる熾烈な競争が様々な作品を生み出し続けることにつながっている反面、中国のネット小説は
「ネット小説として商売になるジャンル」
だけが発達するという状況にもなっているそうで、文字数を稼げる、テンプレの活用で量産出来るようなジャンル以外は生き残るのが難しくなり、娯楽分野での存在感がどんどん薄れているのが悩ましい所だそうです。
そういった中には例えば文字数が稼げない中短編作品や、引き延ばしや安定した評価の獲得と万人向けのテンプレの適用が難しいラブコメ系などがあるそうです。
また他にも大きなエピソードの間の日常的なエピソードやキャラの掘り下げは課金している側にとって「文章の水増し」と思われて批判されがちなのでやるのは難しく、上手く書ける作家もなかなか出てこないといった話もあるのだとか。
ちなみに日本の作品では異世界系は評価が低いものの、ラブコメ系の作品は妙に中国のオタク界隈での評価が高いといった話もあるそうです。
その3に続きます。
