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「きんどう」さんに聞く「電子書籍ってどうでしょう」(01)

今回から対談新シリーズをスタートする。

お相手は「きんどう」さん。「きんどるどうでしょう」という、Kindle向けの電子書籍紹介サイトを、もう13年続けている方だ。

・Xアカウント
https://x.com/zoknd

・きんどるどうでしょう

いわゆるアフィリエイト運営をビジネスにしている方なのだが、個人としては、日本でトップクラスの存在。「個人としてはトップレベルに電子書籍を売っている方」でもある。

だからこそ、ジャンルに偏りはあるものの、「日本で電子書籍がどう売れているのか」の一端を知る人物でもある。

そこで今回から、「電子書籍を売って暮らすとはどんな生活なのか」「電子書籍はどう売れるのか」といった話を詳しく聞いていく。(全4回予定)


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■13年間、Kindleで生きてきた

西田:まずですね、読者向けに、自己紹介と言いますか、どんなことをされてきたのかをご紹介いただければなというふうに思います。

今って何年目でしたっけ?

きんどう:これで13年目ですね。

西田:13年目。ということは、13年間、電子書籍の紹介をして、そのアフィリエイトの収入で基本暮らしてるというか、収益を得ているという理解でいいんですかね。

きんどう:全く合ってますね。はい。Amazonさんから100パーセントの収入だけで生きてます。

西田:そうすると、これは一応確認なんですけど、アフェリエイトはいろいろありますけど、電子書籍のアフェリエイトとしては100パーAmazonであるという理解で。

きんどう:そうですね。ほんのちょっとだけ、DMMさんからも始めたのが去年からです。

西田:なるほど。でも基本的にこの13年間、Amazonからの収益で生きているという理解でいいんですよね。

きんどう:ええ、全く合ってます。

西田:これも最初にお聞きしておきたいんですけど、なんでこれを始めようと思ったんですか。

きんどう:きっかけというのが少しややこしいんですけど。もともとSIerで働いてまして。で、知り合った、今テレビ番組でコメンテーターをされてるような偉い方が、電子書籍のビジネスを始めるという話を聞いたんですよ。で、「僕、営業やります!」って言って、会社を辞めたんですよね。で、辞めた後、その人が「やっぱりやらない」ってはしごを外されちゃったんですよ(苦笑)。

西田:なるほど、なるほど。

きんどう:で、1年間ぐらいプー太郎になりまして、Kindleがこれから日本でサービス始めるっていう時に思いっきりイライラしまして。

で、その時にずっと考えてたのが「やっぱり本を売るために必要な情報って人に届いてない」ということなんですよ。だから「新刊まとめサイトを作ろう」と考えたのがきっかけですね。

西田:その時って、収入的にはそれで行ける、という確証みたいなのはあったんですか。

きんどう:1ヶ月目ぐらいで売上が1万円を超えたんですよ。アフィリエイトで1ヶ月で1万円を超えるって、その当時大変な話だったと思うんですよね。

西田:ええ。

きんどう:始めて1ヶ月目で1万円を超えたんだったら、これをもっと頑張れば全然暮らしていけるじゃないかと。なので、バクチですよね。

それで、確か1年目で数百万円ぐらいの売上になったんで、「これだけもっと頑張れば全然やっていけるんじゃないかな」というので、続けてますね。

西田:これも興味があるところだと思うんですけど、13年間でご自身の売上、ご自身の収入というか売上ってどんな感じで推移してきてる感じなんですか。実数はいろいろ差し障りがあると思うんでイメージで結構なんですけれども……。

きんどう:5年目ぐらいにピークを大きく迎えて、そこからは下がり続けて横ばいですね。

西田:で、ピークって――これも……伺えればで結構なんですけど、ピークってどのぐらいなんですか。

きんどう:1億円には届かなかったぐらいですね。僕の手取りが。

西田:おお、なるほど。

きんどう:このペースでいけばいけるんじゃないかなっていうぐらいの、急激な成長をしました。

西田:ふんふん。すなわち、5年間の間にガガガッとそこまで伸びて、その後は微減ぐらいでずっと続いてるってイメージですか。

きんどう:そうですね。今から1億円目指すとは口が裂けても言えないな、ぐらいのペースですけどね。

西田:なるほどなるほど。

Amazonのアフィリエイトっていろいろルールがあって、総額を明かせないとかいろいろあると思うんですけど。本を売る、要はKindleの本を紹介して売るって、そもそもビジネス的にどう見てます? おいしいのか、それともそうじゃないのか。

きんどう:Kindleの紹介料率は8%なので圧倒的においしいですね。

電子書籍って、売れたらすぐお客さんの手元に届くということで、即時性があるんで、売上の判断も翌日に見たらわかる。すごくネットでの商売とマッチしてるものだと思っています。

西田:その良さっていうのは、単純に「これはこういうふうに読まれてる」「このぐらい、こういうものがウケてる」みたいなのが、ちゃんと手応えがあって、買ってる人もすぐそれを楽しんでる……みたいな、即応性があるところなのかなっていうふうに、今お話を聞いてて思ったんですけど。

きんどう:そうですね。とてもそこが高いなと思ってます。

■「本を紹介するビジネス」の1日とは

西田:そうした時に、これもものすごく興味があるところなんですけど、普段ってどんなサイクルで暮らしてらっしゃるんですか。少なくともXのアカウントを見る限り、かなり素早く、いろんな作品の紹介をされてて。当然それの仕込みとかもあるし、ブログの作業もあるだろうし、やらなきゃいけないことはそこそこあると思うんです。やっぱり即応性がとても重要なビジネスだろうとは思うんですよね。

朝起きられて、どんなふうに仕事をしていって1日を終えるのか、みたいなのがわかると面白いなと思うんですけど。

きんどう:そうですね。パソコンを立ち上げたらまず巡回用にブックマークを集めてるフォルダを開きます。

Kindleの公式Xを見て、日替わりセールのまとめページを見て。Amazonタイムセールの毎日更新してるページがあるんですけど、そこをチェックして、特集キャンペーンだけをまとめてるAmazonのページを見て、というのを17ぐらいのブックマークを見ますね。

それが終わったら各ランキングを巡回。Kindleストア全体の人気ランキング、最新リリース、新着ランキング、売れ筋ランキング、漫画だけのランキングなどをとチェックしてますね。

その後同じようにKindleのまとめサイトをされてる方のアカウントもチェックして、ヌケモレのダブルチェックをして……Kindle以外にもプライムビデオや音楽関連も同様に確認しています。

西田:なるほど。

きんどう:さらに、他の電子書籍ストアさん、DMMであったり、FANZAであったり、ブックライブとか、主だったところを巡回して、新着セールがあるかないかを確認して……で、他ストアさんだけの記事をまた別に作ったりもしてますね。

それが終わったら、ようやくKindleセールの記事を書き出す感じですね。あればですけど。

何もなければ新刊の記事を書いたりしてますね。

■「売れる本」とセールの関係

西田:その辺、これも1つポイントだと思うんですけど、やっぱり売れる本ってセールに紐づいてるんですか?

というのは、僕もいろいろ電子書籍のビジネスとかを取材してると、やっぱり価格刺激がすごく大きくて。話題になるというのも、面白いから話題になるものって全体からすると非常に少なくて。

どちらかというと「面白いものがセールになって上がってくる」ことによって、たくさん読まれる、買われるみたいな傾向があるなと思ってるんです。

この認識って正しいんですかね。

きんどう:面白いと話題になっているもの、また面白そうがわかりやすい、伝えやすい作品がよく伸びると感じています。

西田:はあはあ、なるほど。

きんどう:売っているストアの担当者も出版社の担当もセールになっている本を読んでいるわけではないので「それがどう面白くてどう売れるか」はわかってないんですよ。紹介しているわたしももちろん読んでないのでわかりません。

そして読者もそれが面白いかどうかはわからないまま期待で買います。取り扱っている側が、その作品がどうおもしろくてウケるのがよくわからないまま価格を下げて何千冊とセール対象として並んでいるのが今の電子書籍ストアですね。

そういう状況なので面白いとすでに話題になっているもの、この価格だったら面白そうだと期待できる作品に博打的に課金をしてもらえてると感じてます。

そんな取り扱ってる商品があやふやな状態で選んでるので正直ぜんぶ自信をもって選書してるわけではないのですが、読了済みで自信をもってオススメできる作品があるときは力強く宣伝できるのでセールで大きく伸ばすことができます。

西田:その辺、セールではなくて、面白さみたいな要素でピックしていくって、やっぱり手間とか、それをやるための労力とかは圧倒的に多いんですかね。

きんどう:多いですね。読んでないやつを面白そうだの感覚が合っているのかレビューを確認し、評判を検索して、自分でサンプルを読んでなどで精度をあげています。課金してぜんぶ読む時間はないので勘だけで並べてるときも多いです。

たくさん売れてたら「面白そうだと読者も感じてくれたんだ」と納得しています。読んでない作品が面白いかはわからないんですけど。

西田:そうですね(笑)。

きんどう:ただ、セールを待つだけでなく新刊として発売された直後に伸ばすのが作者的にも業界的にも必要なのでなんとかしたいとモヤモヤはしています。しかし、読んだやつをセールになる、いつかセールになるってわかってるので「これは面白かったから定価で読むべきだ」とは言いづらいんですよね。

西田:そもそもやっぱり電子書籍って、もちろん定価で買ってる人もたくさんいますけど、セールになったら目につくから買う、という方が多くて。んだったら、面白いものがはねる時には、セールの時に「これセールなので皆さんいかがですか」みたいな薦め方をする、という感じですか。

きんどう:そうですね。ユーザーさんの言葉なんですけど、「Kindleストアは安くなってるものから面白いものを探す」と。

西田:ああ、なるほど。

きんどう:はい。で、他ストアを使ってる人は「欲しい本を探す」みたいな発言を言われてましたね。

西田:なるほど。そうすると、それはKindleという場が「そういうものである」という認識があるってとこですかね。

きんどう:認識はされてるんじゃないですかね。やっぱりセールがあまりにも多いですから。

ただ、それはKindleだけというわけではなくて、他ストアさんもセールは基本的に柱になってると思うので。ただ、それは変えていければなと。新刊だけの特集とかあんまりないんですよ。一応Amazonが新しく始めた「New On Amazon」というものがあるんです。

そこはKindleの新刊だけをまとめたサイトで。人気の新刊タイトルとかを更新していってはいるんですけど、じゃあこのページで見るかというと、普通の人は見ないだろうな……という出来ですね。

西田:なそもそもが――本当に釈迦に説法ですけど、AmazonというかKindleの悪いところって、Amazonの売り場で本を売ってるところがあって。それは必ずしも本を売るのに最適な場ではないとは思ってるわけですよ。

きんどう:あ、そうですか。

西田: Kindleの場合って、自分が探しに行った本は検索とかで見つけやすいんですけど、自分が探してもいなかった本っていうのをピックするには、ちょっと向いてない売り場だなと思ってるんですよね。

その辺はたぶん、BOOK WALKERとかあの辺のほうがまだいいんでしょうけど、そもそものシェアが全然違うので。やっぱり売上的にはKindleが大きくなるんだろうな、という気はしてるんですよね。

きんどう:僕は他のサイトを全部見てるんですけど、じゃあ他のサイトが欲しい本をゼロから探すことに向いてるかというと、そうでもないんじゃないかな……。

そもそも、商品点数があまりにも多いじゃないですか。大体1週間で2、3000冊は出るんです。その中から欲しい本を探すとか読みたい本を探すって、ジャンルで縛られても無理じゃないかなと。

西田:なるほど。それは、一般的な商品に比べても販売点数の桁が違うから。

そもそもいいものを運に頼って見つけるってのは難しかろうということですよね。

きんどう:難しいと思いますよ、はい。

西田:これ、よく「本屋だったら大丈夫」って言われるんですけど、僕はあれもわりと疑問なんですよね。

きんどう:本屋に出てる、並んでる冊数と実際販売されてる冊数って違いますからね。

西田:そうなんですよ。本屋さんって結局、その数分の一とか数十分の一が並んでて、たまさかそれが見つかりやすいだけだと思っているので。必ずしもトータルで本当にあなたが欲しいものが見つかってるのかと言われると、なかなか難しいのかなとは思ってるんですけど。

きんどう:全くその通りだと思います、僕も。

西田:そうすると、世の中に存在してる電子書籍ストアもそうだし、電子書籍の紹介に関しても、結局、本と本と読者のいい出会いを実現、みたいなことにはなっていなくて、どちらかというと、「あなたには今これが安くなってるので、これがおすすめです」みたいな、ある切り口の提供しかできてないってことですよね。

きんどう:そうですね。で、それを含めて深くやっていくのがキュレーションという分野になってるんだろうなと思うんですけど。選書ですね、普通にね。

西田:昔はそういう選書みたいな、例えば書評をオンラインでやってる人がキュレーションして売っていけば、みたいな話があったわけですけど。

実際にその収益を考えてみると、例えば1週間に数十冊キュレーションして紹介したところで、トータルでの売上って結局冊数とかそのバリエーションに依存しちゃうんで、実は儲からないんじゃないか、という気がしてるんですけど。

きんどう:いや、儲かるんじゃないですか。キュレーションした本だけを買う、それだけで生きる、となると難しいですけど、キュレーションに紐づく別の本を買われても、KindleだったらAmazonアソシエイトは売上に反映してくれるので。

だから、Aという本を60冊売るけど、それを見た人が別にBでもCでもDでも買ったらお金に入ってくる、というのは、Amazonのいいところだと。

<次回へ続く>

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