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【衆院選2026】「憲政の常道」を蹂躙する高市首相か、筋の通らない「憲政の変態」である中道改革連合か…第三の選択は?/倉山満

 高市早苗首相が衆議院を電撃解散し、27日衆議院総選挙が公示され、本格的な選挙活動が各地でスタートした。2月8日の投票日とする今回の衆議院選挙。減税、物価高対策、社会保障、外交……さまざまな争点があるが、その前に立ち止まりたいのが、やはり今回の高市首相の「解散権行使」に対する疑問の声だ。予算審議や特例公債法の山場を前に、なぜいま解散が選ばれたのか。高市首相の狙いと中道改革連合をはじめとした野党の対応、そして有権者が問うべき本質的争点は何なのか。日本の行く末を左右する重要な選挙について、倉山満氏が読み解く(以下、憲政史研究家・倉山満氏による寄稿)。
高市早苗首相

1月23日に衆議院を解散し、27日に公示、投開票は2月8日へ──。暗黙の了解を破る電撃解散と、従来の主張をいとも簡単に転換して進んだ新党結成はどこへ向かうのか 写真/産経新聞社

高市首相の解散は合憲か違憲かと言えば合憲

 高市早苗首相、衆議院を電撃解散。  これに対し、「理論的根拠がないとの批判」がある。はて、どの理論か。どうせ、日本国憲法の条文と睨めっこしか、してないのでは?「衆議院選挙で総理大臣を選ぶとは書いていない」くらいの、目の前の文字しか読めない、不十分な国語力しかない論者の意見だろうが。  総理大臣の解散権は憲法七条に書かれている。天皇は内閣の助言により衆議院を解散するが、立憲君主国において、内閣の助言は決定権である。しかも憲法学の通説と政府見解は「天皇ロボット説」だ。事実、総理大臣は好き勝手な理由で解散権を行使してきた。「僕は小学校の通信簿でも正直者と書かれたのに、嘘つきと言われるのは耐えられない」「野党の幹部の不倫がバレたので、今なら選挙に勝てそうだ」「闇将軍が裁判で有罪になったので、気分が悪いから解散しろと命じられた」などなど、およそマトモと言えない解散理由は過去に多々ある。帝国憲法の時代もひどくて、「政府は代議士への懲戒解雇の様に解散している」と評された。  総理大臣が衆議院を解散すると言えばできるようになっている以上、高市首相の解散が合憲か違憲かと言えば合憲だ。  ただし、立憲か非立憲かは別である。立憲とは「憲法の求める政治を行ったか」のこと。だから「合憲だが、非立憲」は、当たり前にある。

「合憲ならば何をやっても良い訳ではない」

 そして立憲政治には常道がある。これを「憲政の常道」と称する。立憲政治の常道、憲法政治の常道の略だから、「憲政の常道」。何を隠そう(隠したことは無いが)、私は「憲政の常道」の専門家である。  高市首相のやり方を「憲政の常道」に則っていると言えば、私は憲政史研究者の看板を下ろさねばならないだろう。「このやり方」の部分だけを切り取れば。ただし、部分で全体を否定するのは短絡的だ。「憲政の常道」は、そんな単純な話ではない。 「憲政の常道」とは、広義には民意に従う政治のことである。狭義には、「戦前の二大政党による議院内閣制」を指す。戦前日本人は、「合憲ならば何をやっても良い訳ではない」と立憲政治の確立を求めた。そして慣例が積み重ねられ、「憲政の常道」が確立した。  ただし、バラ色ではない。むしろ戦前の二大政党の政争は激しかった。戦前は政権交代したら、平気で1月に解散した。しかし帝国憲法はよくできていて、予算が成立しない場合は、「前年度予算執行」という制度があったので、政府が崩壊することはない。だから安心して(?)政争を行えた。
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要するに「今なら勝てる。基盤をつくりたい。野田さんとどちらが選んでほしい」だった
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憲政史研究家 1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本中世史』(扶桑社新書)が発売後即重版に

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