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なぜ?楽天とPayPayをかたるおびただしい数のニセメールがやってくるのか アクセスして手口を暴く

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
筆者のもとに届いたニセメール・筆者撮影・加工

みなさんのところにも、楽天カードとPayPayカードをかたる大量のニセメールがやってきて「なんだこれは!」と声をあげた方もいるのではないでしょうか。なぜ今、このニセメールを送ることに犯罪グループが注力しているのか。

実際に、メールに載るリンク先にアクセスすると、狙いと手口が見えてきます。GW(ゴールデンウィーク)中というキーワードがそこにはあります。

GW頃から楽天とPayPayをかたるニセメールが主流に

連休が始まる前は、差出人が「国民健康保険事務センター」でタイトル「国民健康保険料 未納差額に係る納付督促のお知らせ」などの様々なニセメールもありましたが、GWが始まった4月29日あたりからは、楽天カードやPayPayカードをかたるニセメールがほとんどを占めていくようになりました。

筆者のもとに届いたニセメール・筆者撮影・加工
筆者のもとに届いたニセメール・筆者撮影・加工

連休中、ニセメールの推移をみていましたが、受信ボックスには、29日は楽天カードをかたるメールが14件、PayPayカードをかたるものは6件でしたが、5月2日にはニセの楽天メールは約40件、PayPayカードも10件を超えて合わせて50件ほどになっています。
連休最終日の6日も同じような数で、迷惑メールのほとんどをこの2つが占めており、これまでよく来ていたAmazonのニセメールがかすむ状況です。

ニセメールの文面には「未遂」の文字も

直近にきた、楽天カードをかたるニセメールのタイトルは「【重要】楽天カード ご請求金額のお支払いについて(2026年4月分)」となっており、「ご登録済口座から自動引落が未遂となりました」となっています。「未遂」と不自然な日本語もありますので、こうしたところは正規のメールではないと気づくポイントになると思います。

今回、引き落としがされていない金額が2万9857円で「PayPay決済」のボタンを押して払うように促しています。

筆者のもとに届いたニセメール・筆者撮影・加工
筆者のもとに届いたニセメール・筆者撮影・加工

PayPayカードからのニセメールをみてみると、タイトルは「【緊急】PayPay重要通知:最終督促 – 本日中にお支払いください(法的措置移管予告)」となっており「お客様のご利用分につきまして、未払いの残高がございます。本通知は最終督促となります。期日内にお支払いがない場合、法的措置を開始いたします」となっており、同じ2万9857円を払うように促しています。

そして「お支払いがない場合、信用評価センター(CIC/JICC)へ事実が登録され、クレジットカードやローンのご利用に影響を及ぼす可能性があります」などと続いています。
支払う金額はメールによって様々ですが、2万~3万円弱の金額に設定して、手元にあるお金で払えるようにしているところも巧妙だといえます。

メールリンクをクリック、タップすると…

この先はどうなっているのでしょうか。

楽天、PayPayをかたるメールの「PayPay決済」のボタンをクリックして、パソコンからアクセスしてみました。するとPayPayの正規のホームページに飛び、偽サイトにはいかないようになっています。ここに、真の狙いが潜んでいます。

次にスマートフォンからアクセスします。すると、いきなりPayPayのアプリが開き、2万9857円の送金の画面となりました。

筆者撮影・加工
筆者撮影・加工

この「29,857円を送る」のボタンを押すと、犯罪グループに送金されてしまうわけです。ちなみに、楽天カードもPayPayカード双方のニセメールのリンクをタップすると、送金先の名前は違うけれども、同じ画面に飛ぶようになっていました。

キャッシュレス決済の画面に飛ばして不正送金させる形は以前からあり、国税庁をかたり、未納の税金を払わせようと仕向けるニセメールでもやはり、この画面に飛ぶように仕組まれています。スマホでのキャッシュレス決済をさせるために、パソコンからはアクセスできないようにしていたのです。

どうして、GWの時期にこのニセメールを送ってくるのか?

なぜこの時期にこれだけの楽天やPayPayをかたる迷惑メールを送っているのでしょうか。

GWが始まる頃の番組で「企業が休みとなり、個人に向けた迷惑メールが大量に送られてくる懸念がある」と話し注意喚起をしました。というのも、今、企業を狙う詐欺も多く、自社の社長をかたりメールを送る、ニセ社長詐欺の被害が深刻になっています。しかしGW時期は、企業にメールを送っても従業員は休みなので、誰も見ませんので、この手法が使えません。

一方で、犯罪グループは詐欺を仕掛ける人たちを雇っており、不正な利益を絶えずあげなければなりません。そのために、家にいたり、旅行先にいる個人を狙う必要があるため、成功率の高いフィッシング詐欺などのニセメールを大量に送る可能性が考えられたからです。
誰もがキャッシュレス決済をしているなかで、個人からいかにお金をだまし取るかの狙いをもって、おびただしい数の楽天やPayPayをかたるニセメールを送るという手口に絞って罠を仕掛けてきたと考えられます。

今も続くニセメール

その余波は今も続いています。昨日来たメールを見ても、楽天カードやPayPayカードをかたるメールの数はさほど変わりありません。つまり、今もこれだけのメールを送ってきているということは、お金を払ってしまった被害者が多くいて、これがうまく行く手法であると犯罪グループが考えているため継続しているのではないかと思います。
だまされないためには、送金先をみることです。
画像で紹介したPayPayの送金画面では「y***shzさんに送る」となっており、カード会社に払う形にはなっていません。こうした点にも注意をして、犯罪グループが仕掛ける巧妙なニセメールにひっかからないようにお気をつけください。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

ベスト エキスパート受賞

2026

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。 近著に「新興宗教ぶっちゃけ話 入信したら、こうなった。」「人の心を操る 悪の心理テクニック」がある。

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