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ピーター・コッピングが語る、新生「ランバン」の美意識

フランスの老舗ブランド「ランバン」が進化を遂げている。アーティスティックディレクターのピーター・コッピングによる2026年春夏コレクションに込められた「ランバン」の世界観とは。

「ランバン」の誕生は、1889年。創業者のジャンヌ・ランバンがパリに小さな帽子店を開いたのが始まりだ。ブランドのミューズともなった娘マルグリットが生まれたのをきっかけに服のデザインを始めて子供服部門を作り、成功を収めた。その後、婦人服、香水、紳士服などを手がけるようになった。ジャンヌ・ランバンはデザイナーで経営者という、時代を先取りする女性として歴史にその名を残した。

このようなブランドの核となるのが、創業者自身が体現した「le chic ultime(究極のシック)」という概念。その考え方に、現代的な解釈を加えて、新たな命を吹き込んだのが、アーティスティックディレクターのピーター・コッピングだ。

「『ランバン』は多くの人に知られており、洗練されたフランス的ブランドです。美しくすばらしいアーカイブがあり、服や資料、刺繍(ししゅう)などのサンプルもたくさん残っています。それらからインスピレーションを受け、新たなデザインを考えていくのはとても楽しい作業です。こうした中から、『ランバン』を知らない若い世代にも訴えかけるようなものを作ろうと思いました」

パリ市内で2025年9月30日に開催された2026年春夏コレクションの会場は青一色に染まっていた。ブランドの象徴とも言えるランバンブルーだ。

「ジャンヌ・ランバンはブルーが好きでした。でも、好きだったのはひとつの色ではありません。いろいろなブルーが好きだったのです。今回、ランウェイも含め、様々なブルーを使うことによって、ブランドの中核となる部分を再定義し、強いインパクトを与えられるようにと考えました」

ショーに登場したのは、ネイビーやグレーがかったブルーなど多彩で豊か。そして「ランバン」の世界を広げるものだ。

また、今回、白と黒をはじめとする大胆な色遣いや、リボン、刺繍といった装飾の数々など、ランバンスタイルとも呼ばれる特色を現代的なスタイルへと昇華させている。

「例えば、ショーで登場したプリントは、アーカイブにあった刺繍を参考にしたものです。ただし、そのまま使うのではありません。アーティストのトニー・グリーンに刺繍を描いてもらい、プリントに落とし込むという形をとることで、エネルギーを注ぎ込みました」

また、アーカイブの服の構造を研究していたピーター・コッピングらしいアプローチがある。リボンによる表現方法だ。もともとはクチュールの衣装の内側でフォルムを固定するために使われていたシンプルなグログランのリボンを様々な形で表舞台に。

「驚くような形でリボンを使えないかを常に考えている」というだけあって、ドレスやメンズのイブニングのトップスに仕立てるなど、存在感のある使い方が印象に残る。

繊細さと力強さを併せ持つ現代的な「ランバン」に注目したい。


「ランバン」の2026年春夏コレクション。ジャンヌ・ランバンの「究極のシック」を軸に、軽やかさを強調しつつ、装飾や構造を再解釈したルックが登場。裏地や仕立ての工程を表に出すクチュール的表現、進化したランバンブルー、洗練されたアクセサリーが、過去と未来をつなぐ。

text: 宮智泉(マリ・クレールデジタル編集長)

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Profile

Peter Copping ピーター・コッピング

英国出身。ロンドンのセントラル・セント・マーティンズとロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、「ソニア リキエル」でキャリアをスタート。「ルイ・ヴィトン」でマーク・ジェイコブスと共に10年以上、ウィメンズウェアの責任者を務める。
その後、「ニナ リッチ」や「オスカー デ ラ レンタ」、「バレンシアガ」などを経て、2024年9月、「ランバン」のアーティスティックディレクターに就任。

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