アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は1月27日、日本への投資計画に関する説明会を開催した。2026年は、AWSがクラウドサービス提供開始から20年、東京リージョン開設から15年、大阪リージョン開設から5年という節目になる。
代表執行役員社長の白幡晶彦氏は、2026年の決意として「日本のために、社会のために、その先へ」を掲げ、「私たちは短期的な利便性の追求や部分的な効率化の追求だけに注目するのではなく、長期的な視点を持って、日本のために、そして社会のために、今何が必要なのかを常に自問自答すべきだと考えている。そのためにはあえて明示的に宣言することが必要だと感じており、それはAWSジャパンの全社にとっての大きな目標になると考えている」と述べた。
左から、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 常務執行役員技術統括本部長 巨勢泰宏氏、代表執行役員社長 白幡晶彦氏、常務執行役員パブリックセクター統括本部長の宇佐見潮氏
日本のデジタル改革を進め、今後の成長に向けてAWSジャパンは「技術への投資」「信頼性への投資」「人と社会への投資」を日本市場に向けて行うという。特に2025年は日本の重要産業がセキュリティの脅威に直面したことで、AWSとしても改めて信頼性への投資に対して重要性を強調し、顧客を支援する。
まず、技術への投資として、1つ目は「国内のAIおよびクラウドインフラへの投資と国内産業のデジタル化の支援」。2つ目は「AI技術への投資と国内AI開発の支援」に投資を計画している。
同社は2024年1月に、2027年までに国内のAIおよびクラウドインフラに対して約150億ドルを投資する計画を発表している。また、同社はこれまでに東京/大阪リージョンに対して約100億ドルの投資をしており、これにより両リージョンは日本固有の自然災害リスクにも対応するレジリエンスに優れた、堅牢(けんろう)かつ安定したインフラとして顧客のイノベーションの加速に貢献している。
日本市場への15年にわたる国内インフラへの投資は、幅広い業界また企業規模、官民を問わず日本で数十万の顧客がAWSのAIやクラウドサービスを活用している。
また、AWS自身への技術投資として真っ先に挙げられたのは、AI技術に対するアプローチだ。同社が最も重要にしているのは、「選択肢」の提供で、生成AI構築サービスの「Amazon Bedrock」は技術的なハードルを下げることで、より多くの顧客がAIを容易に活用できる。基盤モデルには、Amazonの「Nova」をはじめ、AnthropicやMetaなど、さまざまな基盤モデルを企業のニーズに合わせて選択できる。
AIモデルの開発に取り組む際には、NVIDIAのチップだけでなく、インテルやAMD、AWS独自のAI専用チップを選択できる。白幡氏は「全てを含めた選択肢の提供ができる」と強調する。
2025年12月に米国で開催された「re:Invent 2025」では、自律型AIエージェント「フロンティアエージェント」をはじめ、独自のフロンティアモデルを構築できる「Amazon Nova Forge」、AIモデルの学習や推論においてエネルギー効率・計算能力の高い「Trainium3 UltraServers」など、新たな技術が発表された。
国内のAI開発に対する支援としては、2023年から継続してAI開発を支援するプログラムの提供や、国が実施するプログラムに対する支援も行ってきた。

国内AI開発の支援
2026年も生成AI実用化推進プログラムを引き続き提供するが、同日付でロボット基盤モデル開発に特化した「フィジカルAI開発支援プログラム」を開始した。同氏は「これまでの実用化推進プログラムや(経産省などによる助成金プログラムである)GENIACの支援で培ったノウハウを活用し、日本のロボット産業の強みを生かすことにつながる支援になる」と説明する。
日本のロボット開発を行う企業は、「ロボット向けのAI活用を見据えたモデル開発を行いたい」といった要望や、「収集した大規模データの互換や前処理、モデルを学習させる計算基盤のスケーリング」「シミュレーション環境の構築」などの課題を抱えているという。
同プログラムは、ロボットにAIを活用する際のこれらの課題を解決する。特に視覚言語アクション(Vision-Language-Action:VLA)などのロボットの基盤モデルの開発を中心に、AIをロボット技術に応用することを推進する。VLAは、カメラ映像などの視覚情報や言語指示、ロボット動作を総合的に処理するAIモデルのことを指す。
同プログラムでは、「フィジカルAI関連スペシャリストによる技術メンタリング」「開発費用を一部カバーするクレジット提供」「ロボティクス・生成AIコミュニティー形成」「Go To Market支援」を提供するという。

フィジカルAI開発支援プログラムの詳細

