ネットアップは9月30日、2026年度の事業戦略発表会を開催した。6月に代表執行役員社長に就任した斉藤千春氏が、今後の事業に対する意気込みを語った。
まず、代表執行役員会長の中島シハブ・ドゥグラ氏は、2025会計年度(FY25)を振り返り、「データとインテリジェンスの時代」が到来したと述べた。その上で、“AIの燃料”となるデータを支えることが、ネットアップの重要な役割であると強調した。

ネットアップ 代表執行役員会長の中島シハブ・ドゥグラ氏
「この新たな時代には、サイバーセキュリティとデータガバナンスという2つの課題が浮上している。限られた人員でこれらに対応することは、企業にとって大きな挑戦である」といい、ネットアップは技術をリードする企業として「スケールするシンプルさ」を提供していくと語った。
同社は、そうした課題に対応するためのデータ基盤として「インテリジェントデータインフラストラクチャー」というコンセプトを掲げており、2025年度はこの考え方に基づいた革新的な技術を次々と発表した年となったという。
業績面では、FY25に世界規模で過去最高の収益を達成した。特に、オールフラッシュ、サブスクリプション型ビジネス、パブリッククラウドストレージの3分野で大きな成長を遂げており、「この成長傾向は日本市場でもほぼ同様だった」(中島氏)としている。
2025会計年度(FY25)の振り返り
※クリックすると拡大画像が見られます
さらに、日本では2025年第2四半期にIDCの調査により、オープンネットワークストレージ市場でトップシェアを獲得した点も強調した。
顧客事例としては、日本新薬と京都大学が紹介された。日本新薬はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として仮想化環境を見直し、より高速なデータアクセスと柔軟なデータモビリティーを実現するためにネットアップのブロックストレージ「ASA Series」を採用した。また、京都大学では研究データ管理の高度化を目的に、オブジェクトストレージ「StorageGRID」を導入している。
同社のAIソリューションも大きく進化しており、ストレージOS「ONTAP」と連携したリファレンスアーキテクチャーへの対応や、「NVIDIA SuperPOD」パートナー認定の取得により、AIデータセンターでの活用が加速。グローバルでの大規模案件にも採用され、日本ではNTTデータが導入している。「マルチテナント対応、プライベートRAG(検索拡張生成)の実現、MLOpsとの連携による大規模言語モデル(LLM)開発などの点で評価された」と中島氏は話す。
「ネットアップは、AIの開発段階と運用段階で求められる異なるストレージ要件の両方に対応し、柔軟な運用を可能にしている。こうした現実的な課題に対する実績と解決力こそが強みである」(同氏)
将来のイノベーションに対する投資にも積極的だ。FY25には、2つの先進的なプロジェクトに参加した。1つはNTTとのIOWNに関する共同プロジェクトである。このプロジェクトでは、次世代の強靱(きょうじん)なネットワークを実現するために、AIや次世代コンピューティングに必要とされるデータハブの理想的な形を共に模索している。もう1つは山口大学とのプロジェクトであり、大規模災害時でも衛星インターネットを利用してデータへのアクセスを継続できるアーキテクチャーの実証実験を行った。


