タイ輸入|小ロットから事業規模に移行する時、判断前提はどこで崩れ始めるのか
タイからの輸入を小ロットで回し始め、
取扱量や頻度が増えてきた段階では、目に見える失敗は起きにくいものです。
- 書類は通っている。
- 商品も届いている。
- 売上も、前年よりは伸びている。
そのため多くの場合、次の前提が自然に置かれます。
「量が増えても、今までのやり方を延ばせば対応できる」
本記事は、この前提がどの段階で、なぜ静かに崩れ始めるのかを整理します。
解決策は示しません。
判断を止めるための、確認用の整理です。
タイを事例にしていますが、タイに限定されていないです。
量が増えたときに表面化しやすい違和感
事業規模が拡大し始めた段階で、多くの事業者が共通して感じるのは「問題」ではなく「違和感」です。
例えば、次のような状態です。
- 作業時間が増えているが、何に時間を取られているのか説明しにくい
- 判断の回数が増え、即断できない場面が増えている
- 調整事項が細かく分裂し、全体像が見えにくくなっている
- 一つ一つは小さな判断だが、後から修正が効きにくくなっている
重要なのは、これらがトラブルとして顕在化していない点です。
致命的な遅延や損失が出ているわけではありません。
そのため、多くの場合こう解釈されます。
「今は少し忙しいだけ」
「一時的に判断が増えているだけ」
この解釈自体が、すでに過去の判断構造を前提にしている点が見落とされやすい部分です。
なぜ「慣れ」や「努力」で解消しないのか
量が増えたときの違和感は、努力や経験の不足が原因ではありません。
理由は単純です。
判断の構造そのものが変わっているからです。
小ロット段階では、判断は次の特徴を持ちます。
- 判断対象が限定されている
- 判断の影響範囲が狭い
- 後からの修正が比較的容易
この構造では、多少の無理や属人的な対応でも成立します。
しかし、取引量やSKU、取扱頻度が増えると、判断は次の性質を帯び始めます。
- 判断対象が同時多発的に発生する
- 一つの判断が複数工程に影響する
- 判断後の修正コストが急激に上がる
ここで起きているのは、作業量の増加ではありません。
判断一回あたりの影響範囲の拡大です。
この変化は、努力で吸収できる範囲を超えます。
なぜなら、努力は処理速度を上げる行為であり、
判断構造そのものを単純化するものではないからです。
判断が「積み上がる」状態への移行
量が少ない段階では、判断は独立しています。
一つの判断が、次の判断に大きく影響することはあまりありません。
しかし、事業規模が一定点を超えると、判断は次の状態に移行します。
- 前の判断が、次の判断の前提になる
- 一度置いた前提を簡単に戻せない
- 判断同士が連鎖し、切り離せなくなる
この段階では、
「正しい判断をしているか」よりも、
「その判断がどこまで影響を広げているか」が重要になります。
多くの事業者が戸惑うのは、
判断ミスが起きていないのに、判断が重くなる点です。
これは異常ではありません。
判断構造が変質した結果として自然に起きる現象です。
「今まで通っていた」が通用しなくなる瞬間
過去に問題なく回っていたやり方は、
そのやり方が正しかったから通っていたのではありません。
当時の量と判断構造に適合していたから通っていた、というだけです。
量が増えると、次のズレが生じます。
- 同じ判断でも影響範囲が広がる
- 同じ遅れでも回復に時間がかかる
- 同じ調整でも関係者が増える
このズレは、目立った失敗として現れません。
むしろ「何となくやりづらい」「以前より余裕がない」という形で現れます。
この段階で重要なのは、
やり方の是非を問わないことです。
問うべきなのは、
「この判断構造は、どの規模まで耐える設計なのか」という点です。
判断を先送りしてよいのか、という問い
量の増加は、ゆっくり進みます。
そのため、判断の前提が変わった事実も、ゆっくりと見えにくくなります。
問題は、判断を誤ることではありません。
前提が変わったまま、判断を先送りできると錯覚することです。
判断構造が変わった後は、
「何も起きていない時間」は、余裕ではなく未確定の時間になります。
この状態をどう扱うかは、外部から決められるものではありません。
事業者自身が判断するしかありません。
チェック問い
今のやり方は、「量がもう一段増えても」、判断を後戻りできる前提で回っていますか?
▶ 物流・仕入れ実務の考え方について(参考)
https://hunade.com/nippon47

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