ここ数年で読んで良かった「ニンゲンの面倒なところに付き合う」ための本をまとめた。

本棚をバックにしたタイトル画像

どんなにインターネット上に大量の情報がある時代になっても、生成AIに聞けば答えが出る時代になろうとも、「他者の経験や専門家の思考が整理されてまとまっている書籍」の価値は薄まらない。むしろ高まってるかもしれない。

と、いうわけで2年ぶりに「読んで良かった本」を振り返ろうと思う。過去記事で紹介した本の方が「ニンゲンと付き合う度」がより高いので、ぜひ↓こちら↓も読んでいただけると嬉しいです。

ここ数年で一番良かったな〜と思えた本は、この記事の後半に書いているので、もしそこだけ読みたい人はスススッとスクロールして後ろのほうを読んでね。

 

デザイナーが意図を伝えるための『デザインの伝え方』

ぼくはデザイナーではないのだけど、この本は読んで良かった。
以下のツイートの通り、会議の準備や合意に至らない場合のフォローアップの仕方などが書かれている。

「エゴは会議室の前で捨てる」がブッ刺さった。

この本の何が面白いってデザイナー向けの本ってことなんだよな。

職能で相手のことを決めてつけてはいけないという前置き付きで、ある職能の人は課題解決が好きだけど、こっちの職能の人は修正が最小限なことを好みがち。だから、デザイナーとは視点が違うのである、それぞれのステークホルダーが大切にしてるものに合わせようねって話が丁寧に書かれてる本です。

自分たちがどう考えようと、デザインに関する最終的な決定権はないのです。決定過程において相当な貢献をすることに間違いはありませんが、ステークホルダーとの会議で意思決定するのは誰か他の人なのです

デザインの伝え方 (トム・グリ-ヴァ/オライリージャパン)より引用 

これはデザイナー以外も読んだほうがいい。すごい本だと思う。

 

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

タイトル通りの本。
いま見たら少し減ってたけど、ポストしてすぐにこのツイートが9,000いいねされたんだよね。ブックマークも5,000以上ついてるけど、なにが良かったのか謎すぎる。

写真が良かったのか?

チェックリストというと「要求を忠実にこなさせるチェックリスト」を想像してしまうけれど、この本ではそういうチェックリストもあるが、「決定権と責任を分散させるためのチェックリスト」の話も書かれている。
日曜大工の方が巨大建造物より事故を起こしやすいという例えで紹介されていたのが良かった。内容的には、「失敗の科学」とかに近い。

 

インターネットの住人なんで『認知改変マニュアル』を読んだ。

2025年7月の参院選で「外国の影響工作」疑惑が話題になり、それまで一部の人しか騒いでなかった認知戦が急激に知れ渡るようになった気がします。

「認知戦」に統一された定義はないのですが、一般にはSNSやフェイクニュース、ディープフェイクなどを利用して情報を混乱させることを指している場合が多いです。

認知戦には色々な手口がありますが、両極端な立場を過激化させる投稿を大量に投下したり、広める手伝いをすることで「〇〇派ってアホなん?」と、分断を社会に広めていくやつは手がつけられないくらい激しいなと感じます。

「〇〇派ってアホだね」と、極端で考えたらずなことを言っている人を晒す人は正義感でやっているのでしょうが、「分断を深めて、社会の意思決定を遅くさせるための人為的な情報操作」に乗ってしまっている可能性があるわけですね。

ニンゲンむつかしい。

認知戦については、他にも専門的な書籍やデータがあったりするのですが、この本は面白かったです。

  

「日本のインターネットの父」村井純先生の『インターネット文明』

ぼくはインターネットが好きです。

現代のインターネットは確かに理想的ではないけれど、それでも現代的インターネットを「アテンションエコノミーやフェイクニュースで汚れた良くないもの」とするのは都会化・現代化しないことを望んだ懐古主義だと思っています。
90年代よりも00代よりも現代インターネットの方が情報も多くて便利ですから。

日本のインターネットの整備と普及を推進し「日本のインターネットの父」と呼ばれる村井純先生には現代インターネットはどんなふうに見えているでしょうか。
それが書かれているのが、『インターネット文明』です。

戦争やテロなどによって特定国のインターネットが制限されていく世界情勢について、「(一時的な停滞はあっても)世界はもうインターネットで繋がらない世界に戻ることはできない」と国ごとの分断を否定するところからこの本は始まります。

3・11によって、日本人は世界のどの国よりも切実に、スマートフォンがライフラインのひとつであり、命を守るためにいちばん大事なインフラだという認識をもちました。

インターネット文明 (村井 純/岩波新書)より引用 

そうです、たしかにインターネットは様々な問題を抱えていますが、社会から消えることのないインフラになっていて、一部のインターネットの民だけのものではなくなっていて、懐古的に振り返るのではなく、これからのインターネットと社会をより良くしていくにはどうしたらいいかを考えるべきなんですよね。

「人間はAIに取って代わられない。」
「インターネットでつながった世界はもう分断には戻れない。」
「いま10億円かかるものでも10年後に無料にできるかもしれない。」

村井純先生のような方がこういう考え方なんだと知るだけでも元気になります。

広告やインターネットの信頼性、デジタル庁などの日本の行政問題、網羅的にいまのインターネットの歴史と課題が書かれているので、とても良い本でした。

 

積んだままにしてた『確率思考の戦略論(赤)』を読んだ。

この本は「ニンゲンの面倒なところに付き合う」ための本ではないんだけど、内容が良かったので書いておきます。

著者の森岡毅さん、今年はジャングリア沖縄やらイマーシブ・フォート東京のことで叩かれ気味ですね。テクニックや思考法だけが結果を出す要素ではないのでそこらへんが上手くいくかどうかは分かりませんが、書籍に書かれていることはかなり役に立ちます。

前作の確率思考の戦略論(青)がとても良い本で実務でも役立っているので、積んだままにしていた赤い方を読むことにしました。

青が「USJのV字回復」という個人的な体験をもとにしたストーリー仕立ての本だったに対し、赤本は「どうすれば売上を増やすか」について。選ばれる確率M(消費者プレファレンス)を増やす方法がテーマ。

多くのマーケターがニッチで尖ったコンセプトにしてしまうことを「素人考え」とぶった切ってくるのが面白いところです。

お客様(Customer)と消費者(Consumer)の違いが明瞭になっていない人はまだまだたくさんおられます。そのような意識では、目の前のお客様に待ることばかりになり、消費者全体の課題やチャンスを診ることはできません。」

確率思考の戦略論 どうすれば売上は増えるのか (森岡毅,今西聖貴/ダイヤモンド社)より引用

書籍についての解説記事はインターネット上に死ぬほどある(本当にめちゃくちゃ沢山ある)ので、ここでは書きませんが、市場を見て顧客創出をするにはどうしたらいいのか、具体的な方法が書かれていて、とても勉強になりました。
自分の経験や考えを整理できて読んでよかったです。

 

この一年で一番読んで良かった本『チームの力で組織を動かす』。

ガチ目の「組織設計本」だった。
タイトル読んだら、最近増えてる「チーム運営本」だと思うじゃん。

チームをどう運営するかじゃなくて、組織の中でチームという単位を使ってどう情報設計するかをめちゃくちゃ丁寧に解説してる。
組織の本ってどうしても抽象的なものとか人事制度の話が多いけど、ここまで具体にして「組織設計」を言語化できるものなのかよ……すごすぎる……と衝撃を受けたのです。

上記ツイートは、ぼくが読んで興奮しながらポストしたんで若干なに言ってるのか分からないかもしれないのですが、自分の経験則で判断しちゃう経営者や本部長みたいな人たちが「組織ってのはこうするもんなんだよ」って言いながら踏んじゃうようなアンチパターンが網羅されているんですよね。

この本を読む前にチームトポロジーも読んでおくと良いよ。

 

 

そして、ここ数年で一番読んで良かった本は『他者と働く』です。

本当に損させないから読んでくれ〜〜!!!!
ここ数年で読んだ本でダントツに良かったのは「他者と働く」です。

仕事で話が通じない相手とやり合うためにMBAをとりにくる人が一定数いるのだが、そういう人は「話の通じない相手は機能していない。仕事のジャマをしているのだから、やっつけるべき」という激しい感情を背後にもっていて、人間を仕事の道具扱いしていることに気づいていない───という話から始まる。

この本で一貫して書かれていることは、相手からはどう見えているかを知ることが大切であるということです。説明や説得ではなく、相手からはどう見えているかを知る。
「自分は分かってもらえていないし、どうせ他人のことは分からない」と考えている人にこそ読んでもらいたい。

ふわふわした「対話が大事」とか「理解し合おう」みたいなことが書かれている本ではなく、対話がいかに難しくて大変か、どのように乗りこなすべきかが書かれている本です。

 

AI時代こそ、整理された情報を脳内にブチ込むことが大切だよね。

ところで、ぼくは本を読むのがすごく遅くて、だいたい1冊読むのに2〜4週間かけて読んでいます。そんなぼくでも3時間で6冊読める速読会に行ったら本当に6冊読めて衝撃だった。

しかも、ちゃんと頭に残る。
だらだら読むより頭に残ってるかも。

仲間を集めて定期開催したいんですけど、物理本を持って集まる必要があるんでオンラインとかだと難しいんですよね〜

やってみても良いよって人がいたら、X/TwitterでリプライかDMくださいな!

さて。これを書いてるのは2025年12月31日です。
みんなは紅白を見てるんじゃないかな。ぼくはブログのエディタを見ているよ。

冒頭にも書いたけど、AIに聞けば答えが出る時代だからこそ、他者の経験したことや専門家の思考が整理されてまとまっている情報である「本」をしっかり読み込んで自分の思考力にすることが大切なんじゃないかなと思う。自分の思考の糧にして、行動を変化させるためにも来年も本を読んでいきたいなと思うフジイでした。

来年も良い年にするためにがんばっていこうね。
じゃ、2026年にまたお会いしましょう。

 

このブログはマジで気が向いたときにしか書かないので、たまに1年くらい書かないこともあります。。。
フジイユウジのX / Twitterは、しょうもないことしか書いてないのでフォローしなくてもいいですが、読んだ感想、ツッコミやマサカリ投擲、激励などを書いていただけると少し書くペースが早まるかもしれません。
よろしくお願いします。