渋谷に掲げられた「ポイ捨て禁止」の看板広告 Photo: Stanislav Kogiku / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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タイムズ(英国)

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Text by Richard Lloyd Parry

問題はオーバーツーリズムだけではない。「礼儀作法」への侵害だ──。日本を訪れる外国人観光客に向け、英紙「タイムズ」が日本の秩序の根幹とも言える不文律「マナー」の重要性を説く。

東京・銀座にある店で、青木利勝は昼も夜も、米と魚、そして野菜からなる小さな芸術品を創り出している。店には世界中から人が訪れ、最高に新鮮な旬の食材で握られる彼の寿司に、1人あたり5〜6万円を支払う。しかし最近、青木の芸術、そして日本中の寿司職人の仕事が、予期せぬ新たな問題に脅かされている──「匂う外国人」だ。

多くの場合、香水やコロンのつけすぎが原因だ。衣類に使われる柔軟剤の香りが問題になることもある。さらにはタバコの残り香や、石鹸で洗ったばかりの手の匂いでさえ、寿司の繊細な香りと味を損なうのだと青木は言う。匂いの影響は、その香りをまとっている本人だけでなく、小さな店内にいるすべての人に及ぶ。

「香水は問題です」と話すのは、日本を訪れる外国人に礼儀作法を伝えている田中千恵子だ。「私たち日本人が香水をつけないのは、寿司を味わううえで、匂いを大切にしているからです。ですが、観光客のなかには香水をつける人もいます。すると、その匂いで味が変わってしまうのです」

日本各地の寿司店がホームページを更新し、英語で「香水禁止」という新たなルールを掲載しはじめている。


礼儀作法の「山」と規範の「連峰」


日本を訪れる現代の旅行者は、この国には洗練された習慣と高度な礼儀作法があることを知っている。観光客が土足で畳を踏みつけたり、体を洗わずに温泉に飛び込んだりしていた時代は、いまや過去のものだ。

しかし、日本の礼儀作法の「山」を登っていくと、その先には、明文化されておらず、口に出して説明されることも少ない、新たな規範の「連峰」が待ち受けている。そしてその斜面でつまずく外国人旅行者が、ますます増えている。
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