会計不正問題で揺れるニデックは5月13日、家電向けモーターや車載部品などで計1000件を超える品質不正が横行していた疑いがあると公表した。顧客の承認を得ずに部材や生産工程、設計などの変更をしたり、試験・検査データや生産地表記を改ざんしたりしたという。  原因分析は今後の調査で実施するとしているが、その背景にあったのは、創業者で26年2月に名誉会長を辞任した永守重信氏ら幹部による業績向上の強烈なプレッシャーだったと考えられる。それがうかがえる構造は、会計不正問題の経緯でも見えてくる。

 「永守氏の意思を周囲の幹部が忖度(そんたく)していた」

 「永守氏の承認を得ようとする文化であり、永守氏に承認してもらうためにどうするかということに意識が向いていた」

 ニデックは2026年4月27日、内部管理体制の改革を目的とした改善計画・状況報告書を公表した。不正の原因を分析した項目の中で、特に目を引いたのがこの部分だった。

 永守氏は1973年7月にニデックを創業し、一代で売上高2.6兆円(2025年3月期)の世界的なモーターメーカーに育て上げた。改善計画は、ニデックが25年秋に会計不正で東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されたことを受けたもので、26年1月末に出した第1弾の改訂版だった。ニデックは問題を調べるために外部の弁護士らによる第三者委員会を立ち上げ、2月27日にその調査報告書も出している。改善計画の改訂版は、第三者委の調査報告書が明らかにした内容も踏まえていた。

 一連の調査と分析が明らかにしたのは、かつてカリスマとも称された永守氏の強引なほどの経営スタイルと、それに依存して不正のわなに落ちた組織の姿だった。

 ただ、ある違和感も残り続けた。第三者委が調査報告書を公表した3月の記者会見で、岸田光哉社長CEO(最高経営責任者)らは深く腰を折って陳謝したが、その場に永守氏の姿はなかった。

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