The Beach Boys : THE SMiLE SESSIONS (2011/その1)
The Beach Boys関連
[1 : "THE SMiLE SESSIONS" 目次 & 関連記事]
◉ その1 : ここの記事です。
◉ その2 : 通常盤 または Disc 1
◉ その3 : デラックス・エディション(CD2枚組)
◉ その4 : アナログ盤 Part 1
◉ その5 : Collector's Box・Disc 2
◉ その6 : Collector's Box・Disc 3
◉ その7 : Collector's Box・Disc 4
◉ その8 : Collector's Box・Disc 5
◉ その9 : アナログ盤 Part 2
◉ その10 : 関連書籍・映像作品
◉ Smiley Smile
[2 : はじめに]
アルバム『SMiLE』について触れるとなると、雑誌で特集が組めたり単行本やドキュメンタリーDVDが作れたり議論をすれば延々と続きどんなアルバムだったのだろうと想像力を働かせたり妄想が膨張する恐れが出たりする程もの凄〜く長ぁ〜くなってしまうので、先にこれまでの経緯やポイントを大雑把に端折ってまとめてみます。もしそれでも長く感じる場合は無難にwikipediaを…。元々"ゆっくり読む用"に作っているので気長に接していただけると嬉しいです。
(Wikipedia)
● Brian Wilson Presents Smile
● Smile (The Beach Boys album) (※英語版)
(書籍 : スマイル)
![]() | スマイル (2006/06) ドミニク プライア 他 商品詳細を見る |
(DVD : スマイル DVD)
![]() | スマイル DVD (2005/06/22) ブライアン・ウィルソン 商品詳細を見る |
※その10 : 関連書籍・映像作品でも紹介しています。
[3 : 関連サイト]
※諸事情によりリンク切れになっている場合があります。予めご了承ください。
◉ 「SMILE DAYS」
"SMiLE"に関するデータを網羅した情報満載のファン・サイトです。
◉ 「ペット&サウンズのお部屋」
The Beach Boysを紹介しているファン・サイトです。
◉ 「supercherrybunnyの部屋」
supercherrybunnyさんのHP。『SMiLE』を含むThe Beach Boysのアルバム・レビューを掲載しています。
◉ 「A Guide To The Beach Boys」
The Beach BoysのCDや関連商品を紹介しているファン・サイトです。
[4 : 主な経緯 & 大雑把なまとめ (1966〜2011/簡易版)]
(1 : 60年代)
● 1965年12月 : ブライアン、David Crosby(The Byrds)を介してVan Dyke Parksと知り合う(意気投合するのは後日)。
● 1966年2月18日 : 『Pet Sounds』制作期間中に「Good Vibrations」のレコーディング開始。当初はTony Asherの歌詞でしたが一旦棚上げ(最終作業は1966年9月21日、10月シングル発売)。
● 1966年4月下旬 : 『Pet Sounds』レコーディング終了。ほぼ同時期にブライアンとVan Dyke Parksが次回作『Dumb Angel(仮)』の曲作りに着手。
● 1966年5月11日 : 『SMiLE』制作本格化。「Heroes And Villains」レコーディング開始。Backing Trackは基本的にセッション・ミュージシャンを起用していますが、シンプルなパートはメンバー(主にブライアン、デニス、カール、ブルース)が演奏している場合あり(→『THE SMiLE SESSIONS』Box Set付属ブックレット参照)。
● 1966年5月16日 : アルバム『Pet Sounds』発売(全米第10位/全英第2位)。
● 1966年12月10日 : シングル「Good Vibrations」が全米No.1ヒット。
● 1967年 : 年明け以降からブライアンを取り巻く状況に変化が。様々な問題や悪条件が度重なり、1966年2月〜1967年5月中旬にかけてレコーディングされたオリジナル『SMiLE』は未完成のまま制作中止(締切はとっくに過ぎていた…。毎年2〜3枚ペースで出していたアルバム制作に1年近く費やす事は、当時のPop Music界ではまだ珍しかった)。バンドが出演予定だった『Monterey International Pop Music Festival』もキャンセル。1967年6月を境にRock界も大きく変化。
● 1967年6月1日 : The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』リリース。
● 音源 : ヴォーカルは所々不完全、曲のパーツも殆ど未編集のまま制作中止となったため、アルバムの完成した状態(完パケ)のマスター・テープは存在しません(よくありがちな、作ったけど発売出来なかった、というパターンではありません)。

● 制作期間中にレコード会社が先に印刷したアルバム・ジャケットの裏面には曲目が書かれていますが、これは実際に予定していた曲順ではありません。よく見ると曲目の上に小さく"See Label for correct playing order"と書かれており、「正確な曲目は(レコード盤の)ラベル面をご覧ください」的なことわり書きが記されています(なおジャケットに関するエピソードは書籍『スマイル』(著:ドミニク・プライア/2006年)p.162〜167をご参照ください。)
● 1967年6月以降 : 制作中止後に音源はお蔵入りとなりましたが、いくつかの曲は直後に『Smiley Smile』(1967年9月)に印象の大分異なるリメイク版が発表されたほか、後発のアルバムで小出しに発表された曲もあります。
(主な楽曲 : 1967〜1971)

◉『Smiley Smile』(1967年9月) : ほぼ全曲リメイク版で収録。「Good Vibrations」はシングルと同じ、「Heroes And Villains」「Vegetables」は少しだけ"SMiLE Session"音源を使用。他に曲名やアレンジを変えて別の楽曲になったものも。

◉『Wild Honey』(1967年9月) : 「Mama Says」("Vega-Tables"の一部を抜粋してリメイク。)

◉『Friends』(1968年6月) : 「Little Bird」(デニスの曲ですが、曲後半で『SMiLE』のオマージュ的なアレンジが登場する。チェロ="The Old Master Painter"→コーラス="Our Prayer"→ミュート・トランペット&スネア・ドラム="Child Is Father Of The Man"→バンジョー="Cabin Essence")

◉『20/20』(1969年2月) : 「Do It Again」(エンディングで"Workshop"を挿入)「Our Prayer」「Cabinessence」(追加録音を行い曲を完成。)

◉『Sunflower』(1970年8月) : 「Cool, Cool Water」(中間に登場する"Water, Water, Water, Water〜っ♪"の部分。)

◉『Surf's Up』(1971年8月) : 「Surf's Up」(追加録音を行い曲を完成。)
(2 : 70年代)
● レーベル移籍(Capitol→Reprise/Brother)後の1972〜3年頃、レコード契約時の条件で『SMiLE』を発表する動きがあり、カール・ウィルソンがエンジニアと共に編集を試みたものの「どれを繋げてもフィットする (答えが有って無いような状態)」がネックとなり、この時も発売中止に。
(註 : →書籍『スマイル』(著:ドミニク・プライア/2006年)p.241〜244参照)
(3 : 80年代)
● 80年代前半 : 熱心なファンの間で『SMiLE』の研究が徐々に行われるようになり、自主制作のファンジンや書籍が発行されるようになる。
● 1983年頃から『SMiLE』のセッション音源の"断片"が非正規に流出(最初期は音源が足りず『Smiley Smile』のテイクで水増しされていたようです)。
● ビーチ・ボーイズのヒストリー・ビデオ作品『An American Band』(1985年)で「Do You Like Worms (Roll Plymouth Rock)」「Fire (The Elements: Fire (Mrs. O Leary s Cow))」の一部が公表される。「Do You Like Worms」はショート動画的な数秒の映像、「Fire」はセッション風景と「Good Vibrations」のMVから一部抜粋。

● 80年代後半 : デジタル時代突入で『SMiLE』の非正規盤CDが次々登場。これが90年代後半辺りまで続く(その影響で、90年代に出版されたビーチ・ボーイズ関連本に『SMiLE』の非正規盤CDを紹介しているものもある)。
(4 : 90年代)
● 1990年 : Capitolが60年代のアルバムをCD化した際、『Smiley Smile / Wild Honey』のボーナス・トラックとして『SMiLE』セッションからの音源の一部が収録される。

● 1993年 : ボックス・セット『Good Vibrations: Thirty Years of the Beach Boys(邦題:グッド・ヴァイブレーション・ボックス』のDisc 2及びDisc 5(Bonus Disc)に『SMiLE』からの未発表音源が大量収録(註 : 大半は2011年リリース版とは別編集)。
● 1995年 : Capitolから『The "Smile" Era』と題されたボックス・セットの企画が出ましたが、ブライアンからOKが出ずこの時も中止に。雑誌『THE DIG』(JUNE/JULY 1995 No.1)の記事で紹介された事があり、CD屋のリリース案内だとたしか2枚組だったような…(3枚組と書いてある記事もある)。

● ヒストリー映像作品『Endless Harmony』(1998年)でも『SMiLE』の話題がメンバーのコメントを交えながら触れられたほか、同名のサントラ盤アルバムで「Heroes And Villains」のDemo音源が初収録。
(5 : 2000年代)

● インターネットの一般普及が広がる中、日本・海外問わず『SMILE』関連のファン・サイトが次々登場。しかし2000年代半ば以降個人サイトのブームが去り数年後に閉鎖 or プロバイダーのサービス終了等で大半は閲覧不能に。そのうち1つは雑誌『beatleg (1999 Vol.5 October)』に掲載されています。
● 2000年前後 : この頃になると音源もある程度出そろい研究も盛んになったため、制作者独自編集・曲順の『SMiLE』の非正規盤CDが登場。

● 2001年頃からブライアン・ウィルソンのソロ・コンサートのレパートリーに『SMiLE』の楽曲が少しずつ加わるようになる。ちなみに2002年2月の日本公演でも「Our Prayer」「Heroes And Villains」「Surf’s Up」「Good Vibrations」が披露されました。
● 2003年5月22日 : ブライアン・ウィルソン本人の口から「2004年2月、イギリス・ロンドンで"SMiLE"のコンサートを行う」と宣言。それまで当人が(ネガティヴな記憶として)『SMILE』の話題を極力避けていただけに、この宣言は大きな話題に。
その後、ブライアン・ウィルソンとダリアン・サハナジャ(Wondermints)を中心に修復作業が開始。ダリアンはマーク・リネット協力のもと、自身のノート・パソコン(iBook)に『SMiLE』セッション音源を可能な限り取り込み、それをPro Toolsという編集ソフトで検証。従来の面倒なアナログ・テープ編集と異なり、パソコン上で様々な組合せを短時間で編集、聴く事が可能に。そしてあらゆる組合せを試み、ブライアンと相談しながら一つずつ構築。
ドキュメンタリーDVD『スマイル DVD』(Warner Music Japan WPBR-90482〜3/2005年)を観ると、ダリアンは「アルバムは完成しなくていい。流れるような演奏をどうやってやるか。それだけさ。」と助言。そして作業は着々と進行。ところが元々歌が付くはずだった「Do You Like Worms」(のちに"Roll Plymouth Rock"と改題)の歌詞で判らない箇所が見つかり、ブライアンはいきなりヴァン・ダイク・パークスに電話をかけ問いつめる(笑)。これがきっかけでヴァン・ダイク・パークスも作業に参加。さらに他の曲の未完成部分にも新たに歌詞を加えています。
● 2004年2月 : 遂に『SMiLE』完成。予告通りロンドンで行われたライヴで初披露。

● 2004年10月 : その後スタジオで改めてレコーディングを行い、『Brian Wilson Presents SMiLE』として発表。この時発表されたものが『SMiLE』の完成形になります。結局それまで我々が耳にしていたものは、あくまでアルバムの"録音風景"や"断片の一部"でしかありませんでした。そしてライヴ・スタジオ盤共に大きな成功を収めます。
(6 : 2010年代)
● 2011年 : ビーチ・ボーイズ版『THE SMiLE SESSIONS』は、Compilation ProducerとしてクレジットされているMark Linett、Alan Boyd、Dennis Wolfeの3名が中心となり、2004年発表の『Brian Wilson Presents SMiLE』を基に再構築。編集は60年代のようなテープの切り貼りではなく、マスター音源をデジタル変換後、Pro Tools等の編集用ソフトで様々な断片を組合せ、モノラルでミキシング(※ボーナス・トラック等にはステレオ音源あり)。それを最終的にブライアンがチェックするというスタイルが取られたようです。
● 2011年11月 : ビーチ・ボーイズ版『THE SMiLE SESSIONS』正式発売。1966〜71年にかけて録音された素材のみで再構築されているため、未完成の欠落部分は欠落したままにしてあるか、既存の録音素材から抽出→合成(日本語解説書では"マッシュ・アップ"という言葉が用いられている)を行い補強。そのためビーチ・ボーイズ版で歌詞が抜けてる部分は2004年ブライアン版を聴いて補う必要も。なので未聴の方で、より楽しみたい方は2004年ブライアン版『Brian Wilson Presents SMiLE』を踏まえた上で本作に接するのもベターかと思います。
・・・というわけで、ハードコアな話題を除くとこんな感じになります。もしここまで読んで、スゲー長く書いてるしハードコアじゃないかと感じたら、いやぁ〜全然。これでもほんのサワリ程度。まだまだ序の口です(笑)。ネットの情報だけで知ろうとするのもいいけど、もしよければCD付属のブックレット、先に挙げた関連書籍やDVD等で深く接するのもいいかなと思っています。次回その2へつづく。
[4 : YouTubeより]
● 『THE SMiLE SESSIONS』のオフィシャル・トレーラー。
● 『THE SMiLE SESSIONS』のリリース・イベントの動画。バーチャル"SMiLE SHOP"(笑)でブライアンのサイン会が。ちなみにこの他にメンバーや制作スタッフによるインタビューも観る事ができます。
(作成 : 2011年9月2日/更新 : 2012年2月27日,6月28日, 2013年2月14日, 2017年7月23日, 2021年9月21日, 2022年8月31日, 2025年3月18日)
→🟢『THE SMiLE SESSIONS (その2・通常盤』へつづく
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